あらすじは、親戚5人で故郷の使われていない納屋の周りの雑草を刈り取る一日、です。ホントにこれだけ。
むずい、むずい、むずい、初見殺し,と言うのが感想。
最初のダラダラと親戚5人が福岡から長崎の離島に行くまでが、まずきつ〜。
30分かけて10ページ。2度読むのをやめようと決意した。
むずい大きな理由は登場人物の多さ。
たいそうな人物相関図だけど、ダラダラとした会話がつづくばかりで、山場がなく、オチもないので、物語に没入するのがとにかくムズイ。
ただ、これが芥川賞、純文学と言うものでしょう。
実は筆者は今回初めて芥川賞を読み切った。
これまでは月刊文芸春秋に載る受賞作を病院の待合室かで読んで、すぐに「つまらない」とページを閉じていた。
この1年、青空文庫などで古典作品を読むようになり、もちろん芥川龍之介の作品を読み、ようやく芥川賞を読める体勢(耐性?)になったのではと期待して、第162回芥川賞を受賞した古川真人著『背高泡立草』の単行本を購入して読みはじめた。
が、最初から図解しないとわからない人物たち。しかもほとんど女性で名前も平凡でごちゃごちゃ。
主語も一貫していない。最初は奈美が主人公かと思っていたけど、後半は美穂、そして最後は知香。(さらに途中途中に挿入される過去のエピソードは一転して、その逸話の主人公たちは名無し。)
最初の章で、読み続けるモチベーションが下がったので、途中で閉じて、思い切って、最後の章のページを開いた。このごちゃごちゃの人たちが、最後に生き残ったのは1人だけと言うホラーサスペンスだったら読み直そうと。
しかし、(想像通り)誰も死なない。それどころか、さいごは「夢落ち」であった。
これまでならそこで読書を辞めてそのまま読まなかっただろう。今回は「修行」のつもりだ。
何度かの中断を経て、とうとう読み切れた。全体を通じて山なしオチなしであった。最初はグダグダで話が進まず、さらに長崎弁のセリフも難解で、かなり苦痛だったが、挿入話になると、結構締まった内容で楽しくなる、これがどう本編にリンクするんだろうと。朝鮮人の難破した男と子供のどちらかが、実は哲雄だったくらいはあるかなと、おもった。
しかし、まったく関わらなかった。マジか。(途中グダグダだったので、重要なセリフとかを実は読み飛ばしたのかもしれない)
そしてまさかの夢落ちで終了! 挿入話は、草刈りに疲れて寝た時に見た夢、と言うことだろうか。この終わり方がある意味、新鮮だった。「芥川賞で夢落ちもありなんだぁ」と。
なんて言ったらいいのだろう。初めて芥川賞読み終えての感想は、思ったよりも読めた。特にワクワクも山やどんでん返しは無いけど、長文のはてなブログを読んでいる感じ。読め終えれば、ちょっとじんわり来る。
感動や感激までは、ない。
ただ100ページくらいの短さなので、今の時代にサクッと一日で読める単行本は重要かもしれない。映画「君の名は」が90分だったように。
最近青空文庫で鍛錬したので、純文学をとうとう読めるようになったことに、自分で自分を褒めたい。芥川賞を過去にさかのぼっていくのもいいかも。
ブクログでは、星2にした。作品が悪いのでなく、読み手のレベルが低いからなので、作者には申し訳ないが、とにかく私にとっては記念すべき芥川賞作品となった。
評価は星2
電子書籍版もあり
21世紀の芥川賞ぜんぶ読むプロジェクトをはじめました。