【ネタバレ感想】国立科学博物館「大絶滅展」レポート!史上最大の絶滅は隕石じゃなくてシベリア発の「あれ」

管理人のエミです。いつものアート巡り仲間、サキちゃんと一緒に、今回は上野の国立科学博物館で開催中の特別展「大絶滅展 ~地球の危機と生命の進化の物語~」に行ってきました!
今回は理系のサキちゃんが案内役です!歴史好きのエミは、地球史の壮大なスケールの絶滅の歴史を知りたくてついていきました。

いざ、大絶滅の渦へ

エミ: サキちゃん、着いたね、科博!混雑ぶりがやばくない?

サキ: うん、ビックリ。私たち実はこのあと、隣の上野の森美術館の「正倉院THESHOW」も予約してるだけど、そっちも入場列すごかったね。今日は科博の常設は残念ながらスキップだね。

エミ: 『大絶滅展』って…名前からしてインパクトがすごい。ちょっと怖いかも。

サキ: ふふふ、大丈夫だよ、エミちゃん。今日は私がナビゲートするから!生物の歴史は、絶滅と進化の歴史でもあるんだ。Xの感想でも『カッコいい!』『可愛い子達がいっぱい』ってあったから、きっと楽しめるよ。

エミ: お、頼もしい!それにしても、Xで『土日は開館時でもえぐい』って見たけど、平日でも結構人がいるね。福山雅治さんの音声ガイドも大人気みたいだし。

サキ: うん、すごい熱気。さっそく、私たちも地球史の渦に飛び込もう!

地球史の「ビッグファイブ」とは?

エミ: うわ…いきなり映像がすごい。地球の形をした球形のスクリーンにプロジェクションマッピングされてる。サキちゃん、まず『大絶滅』って、あの恐竜がいなくなった時のことだけじゃないの?

サキ: いい質問だね、エミちゃん。それが今回のキモ。地球の歴史上、特に大規模に生命が消えたイベントが5回あって、それを『ビッグファイブ』って呼ぶんだよ。

エミ: ご、5回も!?そんなに地球ってリセットされてたんだ…。

サキ: そうなの。一番有名なのは、エミちゃんが言った約6600万年前、恐竜時代を終わらせた白亜紀末の絶滅(5回目)だね。

エミ: 隕石がユカタン半島に落ちて大津波が起きて、何年も日光が届かなくなって、さらに大噴火もあったんだ、ヤバいね…。

サキ: でもね、実はそれより遥かにヤバかったのが、約2億5200万年前のペルム紀末の絶滅(3回目)。全生物種の90%以上が消えた、地球史上最大の大絶滅なんだよ。

エミ: 9割!?ほぼ全滅じゃない…!一体何が…?

サキ: それは後のお楽しみ。まずは、絶滅が『終わり』じゃなかったって話から。

絶滅は終わりじゃない。進化のドラマ

サキ: 絶滅って聞くとネガティブだけど、見方を変えると『新しい生命が繁栄するチャンス』でもあったのよ。空白地帯が生まれるから。

エミ: チャンス?どういうこと?

サキ: 例えば、あの5回目の絶滅で恐竜(鳥類を除く)がいなくなったよね。彼らが支配していた『陸上の大型動物』っていうニッチ(生態的な地位)が、ぽっかり空いたんだ。

エミ: あ!もしかして、そこに私たちのご先祖さまが?

サキ: その通り!その空いたニッチに、それまで小さく隠れるように生きていた哺乳類が一気に適応放散して、多様化した。私たちヒトに繋がる道が、ここで開けたわけ。

エミ: うわー!すごい!まさに『生命のバトンリレー』って感じだね。絶滅がなかったら、今この世界はなかったかもしれないんだ。

圧巻の展示!サキとエミの「推し」ポイント

エミ: サキちゃん、理系目線での『推し』はどこだった?私はもう、あのネットで一時期話題沸騰の『サカバンバスピス』のおちゃめな顔に釘付けだったけど。

サキ: あ、やっぱりそこ?(笑)じゃあ、まずは私の『推し』から。何と言っても、あの『溶岩流の模型』!

エミ: え、溶岩?あのおっきなジオラマみたいなやつ?

サキ: そう!Xでも『シベリア火山の縄状溶岩・柱状節理・岩脈がリアル!興奮』ってポストがあったけど、あれこそが史上最大・3回目の絶滅(ペルム紀末)の犯人なの!

エミ: ええっ!あれが!?

サキ: うん。『シベリアン・トラップ』っていう超巨大な火山活動が起きて、地球全体が温暖化と酸性雨で地獄みたいになったんだ。あのリアルな模型は、その規模を物語ってるの。

エミ: なるほど…。溶岩流の分厚さもすごいし、それが3層にも重なっていて、一度ならず2度、3度と大噴火と溶岩流がこの規模で押し寄せたら、それはみんな絶滅しちゃうよね。

サキ: あと、最初のコーナーも良かったなぁ。生命が一気に多様化した『カンブリア爆発』。

エミ: カンブリア爆発!聞いたことある!

サキ: 化石って石だし、基本骨格しか残らないから化石だけ見ても、正直イメージが掴みにくいんだけど、この展示ではほとんどの化石にイメージ復元画が掲示していて、とても新鮮だった。

エミ: うん、正直、化石みても、染みか凹凸にしか見えなかったんだけど、横にある復元画を見たら変な形の生き物だらけで!生命の実験場みたいだった。生命は爆発だ!

サキ: あと 面白かったのが森林が生物を絶滅させた理由になったってところね。

エミ: そうそう意外だったんだけど、「森」つまり 植物が地上に現れたのって、意外と新しくてカンブリア爆発の後、2回目の大絶滅のあとだったんだね。

サキ:1回目の大絶滅は火山の大噴火が原因で。その時、火山から出た噴火ガスは二酸化炭素がめちゃくちゃ多くて、海の中の酸素がなくなっちゃって海の中にいた生き物たちがかなり大絶滅しちゃった。

エミ: 海の中にいられず、それで植物が地上に出てきたんだってね。もちろん動物もこのころに初めて地上に上がっていった。海という楽園から地上というある意味地獄へ。

サキ: 植物の森は地上に特化して大進化をするよね。光合成ってよく考えると不思議な現象だよね。日光だけじゃなく、大気の二酸化炭素を取り込んで酸素を作るんだよね。そしたら今度は地上の植物が二酸化炭素を減らしすぎて酸素を作りまくったから、一緒に地上に出た生き物たちが今度は森林によって大絶滅するという。

エミ: 酸素もやっぱりありすぎると困るみたいで、絶滅させちゃうんだよね。まるで宮崎駿の『風の谷のナウシカ』の腐海みたい。そういえばこのコーナーは腐海にいそうなヤバい巨大ヤスデとか復元されてたね。

そして「第6の絶滅」へ

エミ: 会場の最後にあった『ステラーダイカイギュウ』の実物の骨格標本、本当に大きかった…。

サキ: うん、圧巻だった。でも、エミちゃん、この子は『ビッグファイブ』の絶滅じゃないんだよね。
エミ: え?…あ。そうか。これは、私たち人類が絶滅させたんだ。

サキ: うん。1741年に発見されて、乱獲によって、たった27年後の1768年に絶滅した。ビッグファイブが何百万年というスケールなのに対して、これはあまりにも…ね。

エミ: あまりにも、速すぎる…。

サキ: 地球の歴史を5回も見て、最後にステラーダイカイギュウを見て…。展覧会の最後のメッセージ、どう感じた?

エミ: 今、私たちが生きてるこの時代も『第6の大絶滅』の真っ最中だって考えさせられた。

サキ: そう。地球の歴史を振り返ると、今の生物多様性の急速な減少は、明らかに異常なスピード。そして、その原因の多くが『人類活動が拍車をかけている新たな絶滅』だって、科学は示してるのよ。

エミ: 怖いけど、目をそむけちゃいけないんだなって。

サキ: うん。過去の絶滅は、火山や隕石っていう『外的要因』だったけど、今回は『内的要因』…私たち生命自身が引き起こしてる。展覧会最後のメッセージ、ずっと心に残ったよ。

恒例 おまけ会話 エミとサキの大絶滅展プレイリスト

エミ: はぁー…すごかった。3時間くらい?あっという間だったけど、情報量が46億年分だったからね…。

サキ: すごく歩き回ってお疲れ様でした。でも、エミちゃん、ちゃんとついてきてくれたね。ありがとう!

エミ: いや、今日のサキちゃんの解説がすごくわかりやすくて、最高に助かった!

サキ: よかった!こうやって一緒に見に行くと、興味が深まって楽しいよね。さて、科博を出る前に恒例のプレイリスト作っておこうか?

エミ: もちろん!じゃあオープニング曲はサキちゃんから。

サキ: オープニングかぁ、やっぱり地球史の壮大さからいきたいよね。akinoの「創聖のアクエリオン」かな。「一万年と二千年前から愛してる」どころか、46億年の歴史だもん(笑)

エミ: いいね!スケール感ぴったり!じゃあ私はド直球に、kemuの「地球最後の告白を」。ビッグファイブの時、絶滅していく生き物たちはこんな気持ちだったのかなって…想像したら泣けてきちゃって。

サキ: うわ、でもわかる。じゃあ私は続いて、ウォルピスカーターさんの「僕らのミッシングリンク」。絶滅と進化の間にあった、失われた環(わ)を探す感じが、今日の化石発掘の研究みたいでさ。


エミ: あー、ミッシングリンク!まさにだね。じゃあ私はangelaの「Shangri-La」。絶滅っていう地獄を乗り越えて、新しいニッチっていう「楽園(シャングリラ)」を目指す生命の力強さを感じない?

サキ: なるほど!「さよなら蒼き日々よ」の部分が絶滅とも取れるしね…。じゃあ、最後の「ステラーダイカイギュウ」を見て思い浮かんだ曲いっていい?ヒグチアイさんの「悪魔の子」。

エミ: え、それ『進撃の巨人』の…?どうして?いや、そっか分かる、分かるよ。

サキ: うん。「世界は残酷だ それでも君を愛すよ」って歌詞が、絶滅という残酷な現実と、それでも続いていく生命の連鎖みたいで。…あるいは、他の生き物から見たら私たち人類が「悪魔の子」なのかもって。

エミ: 深い…。じゃあ私はもっと直接的に、カンザキイオリさんの「命に嫌われている」。第6の絶滅を引き起こしてる私たちって、本当に命を大事にしてるのかなって、私もあのステラーダイカイギュウの前で考えさせられたから。

サキ: うぅ…刺さる。じゃあ、ちょっとインスト的に聞けるやつ。菅野よう子さんの「499秒」。あの緊迫感と壮大さが、隕石衝突とかシベリアン・トラップみたいな、大絶滅までのカウントダウンみたいで。

エミ: あー!わかる!一緒に行った大阪関西万博の「超時空シアター」の音楽ね。情景が浮かぶ。…よし、ここで私のネタ枠いっていい?相川七瀬の「BREAK OUT」!

サキ: な、なんで?急に90年代(笑)

エミ: ふふふ、歌詞をよく聴いてみて!「近頃化石みたいな感動のストーリー」ってあるんだよ!今日の展示にピッタリじゃない?

サキ: (爆笑)まさかの歌詞ネタ!やるね、エミちゃん!じゃあ、こっちも歌詞繋がりで。伊藤歌詞太郎の「サイレントマイノリティー」はどう?絶滅していった無数の種たちって、声なき少数派(サイレントマイノリティー)だったわけだし。

エミ: うわ、それもいいね…。じゃあ、最後はやっぱり未来に繋げたい。コブクロの「この地球の続きを」。

サキ: あ…!大阪関西万博のテーマ曲。それはもう、展覧会の最後のメッセージそのものだね。「第6の絶滅」をどう乗り越えて、私たちがこの地球(ほし)の続きを作っていくか…。

エミ: うん。しっかり考えなきゃね。さて、今日も豊作だった!箔押しキラキラの図録であとでジッくり復習しよう!

エミとサキの大絶滅展プレイリスト

​創聖のアクエリオン / akino
​地球最後の告白を / kemu
​僕らのミッシングリンク / ウォルピスカーター
​Shangri-La / angela
​悪魔の子 / ヒグチアイ
​命に嫌われている / カンザキイオリ
​499秒 / 菅野よう子
​BREAK OUT / 相川七瀬
​サイレントマイノリティー / 伊藤歌詞太郎
​この地球の続きを / コブクロ

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