戦国時代の幕開け 強すぎる室町幕府の管領が応仁の乱を招く?! 将軍=首相 管領=官房長官兼幹事長説

サキ: 「ねえエミちゃん2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』の予習しようと思ってさ。 信長とか秀吉の戦国時代はおなじみなんだけど……」

 「そもそも、なんで戦国時代になったのかが、いまいち分からないんだよね。 室町時代の前半って、教科書だと『金閣寺! 銀閣寺!』みたいな文化史ばっかりで、政治の話はサラッと流されがちだし」

エミ: 「あー、それ、めちゃくちゃいいところ突くわね。 歴史の教科書あるあるよ。『足利義満が凄かった』のあと、急に『応仁の乱で焼け野原』に飛ぶから、その間のシステムエラーが見えにくいのよ」 (コーヒーを一口飲んで、不敵に笑う) 「じゃあ、いつものやつでいくわよ。現代政治に置き換える比喩で」

サキ: 「出た。エミちゃんの得意技」

エミ:「まず前提ね。室町幕府って、だいたい今の“政党内閣制(議院内閣制)”みたいなものなの」
サキ:「え、もっと将軍の独裁政権っぽいイメージだった」
エミ:「それね、実は全然ちがうのよ。
将軍=首相
管領=官房長官
って考えると、だいぶ分かりやすいんだ」

サキ:「なるほど……管領ってなにをしているのかが分からなかったけど、官房長官と思うとなんかわかるかも」

エミ:「で、ここからが本題。現代は、首相と官房長官って同じ内閣よね。でも、内閣だけじゃ無いよね?」

サキ:「あっ、与党か」

エミ:「そう室町幕府でも、内閣と与党があったわけ」

サキ:「そうだっけ?そんなの教科書に書いてないよ」

エミ:「だって室町時代は、全国に守護大名がいるじゃん、これが与党ね。与党は常に内閣の下にあるわけじゃないでしょ、公明党が与党から離脱したら一気に政権が崩壊しそうになったり、そのかわりに維新や国民民主が”与党”になると安定するとか。これってまさに室町時代なの」

サキ:「扱いづらそう……」

エミ: 「でしょ? 例えば『山名派』とか『赤松派』みたいな巨大派閥がいて、彼らが『将軍様(首相)を支持しますよ』と言ってくれている間だけ、政権は安定する。 逆に言えば、今の連立政権みたいに、公明党が離脱したら政権が終わりそうになるとか、維新や国民民主が協力してくれたら安定するとか……室町時代は常にこの『多数派工作』が必要だったの」

サキ: 「ふむふむ。 将軍と守護大名は、絶対的な主従関係というより、『利害が一致している連立パートナー』に近いんだ」

エミ: 「その通り。 だから将軍の方針が気に入らなければ、守護大名は平気でボイコットしたり、領国に引きこもったりする。 トップが全部決める独裁政権じゃなくて、『調整に次ぐ調整で回している合議制内閣』なのよ」

サキ: 「そうなると……与党との調整をする官房長官(管領)の仕事、めちゃくちゃ大変じゃない?」

エミ: 「そう! そこが最大のポイント! だから室町時代の管領になれるのは、『三管領(さんかんれい)』といって、細川氏・斯波(しば)氏・畠山(はたけやま)氏の3つの最強派閥の家柄だけに限られていたの」

サキ: 「3つの家だけ?」

エミ: 「弱小派閥の人間が官房長官になっても、他の大物大臣たちをまとめられないでしょ? だから、最強クラスの派閥のボスが持ち回りで担当したの。 これってつまり……」

サキ: 「あ! 管領は『官房長官』であると同時に、『与党(自民党)幹事長』でもあるってこと!?」

エミ: 「ご名答! 将軍の補佐役(官房長官)としての行政権限と、派閥をまとめるボス(幹事長)としての政治力。 この二つの最強権限を一手に握っていたのが『管領』なのよ」

サキ: 「うわぁ、権力集中しすぎだよ。 首相(将軍)よりも、管領のほうが実権握っちゃいそう」

エミ: 「まさにその通り。 将軍の力が強い時(南北朝時代の足利義満とか)はいいんだけど、南北朝時代が終わって”外敵”がいなくなって、将軍の緊張感と権限が緩くなっちゃうと、制度的にとたんに管領のパワーバランスだけが突出してしまう。 そして……その『最強ポスト』を巡って当然、内部で争いが起きるの」

サキ: 「あ……それが戦国時代の入り口?」

エミ: 「そう。『応仁の乱』の原因はいくつかあるけど、決定打になったのは将軍の跡継ぎ争いだけじゃないの。 むしろ管領の家柄である畠山氏と斯波氏の家督争い(お家騒動)――こっちのほうに注目したほうが理解しやすいわ」

サキ: 「ポスト争いってこと?」

エミ: 「つまり、『次の官房長官・幹事長(管領)は俺だ!』『いやうちの派閥だ!』って、同じ党内の派閥で分裂選挙が始まっちゃったのよ。 しかも、そこに将軍が『どっちでもいいよ~』なんて優柔不断な態度を取ったり、逆に介入して火に油を注いだりした」

サキ: 「うわぁ……。 首相が指導力を発揮できないまま、官房長官兼幹事長のポストを巡って、与党内で殴り合いが始まったわけだ」

エミ: 「現代との決定的な違いは、彼らが独自の『軍隊』を持っていることね。 『俺を幹事長にしろ!』って言って、地方から数万人の兵隊を京都(永田町)に連れてきたの。 片方が連れてくれば、もう片方も『じゃあ俺も!』ってなる。 さらに、他の派閥(山名氏など)も『この機に乗じてライバルを潰そう』と介入してきて……」

サキ: 「……国会議事堂(京都)が大炎上」

エミ: 「その通り。それが11年も続いたのが『応仁の乱』よ。 結果、京都は焼け野原。幕府(内閣)の機能は完全に麻痺。 それを見た地方の守護代(小選挙区の野党候補)や国人(地方議員たち)はどう思う?」

サキ: 「『あ、中央の自民党本部はもうダメだ』って思う」

エミ: 「そう。 『幹事長も首相も機能してないなら、俺たちが勝手にやるわ』 『税金も中央に送るのやめて、自分の領地を広げるのに使おう』 こうして、中央の言うことを誰も聞かなくなって、『地方創生の名の下に実力で領地を奪い合う』時代が始まるの」

サキ: 「いやいや、『地方創生』は違うでしょ(笑)でも、なるほどだねー!  『少数与党に転落して不安定』になって『自民党が下野』に近いね」

エミ: 「そういうこと。 戦国時代は、突然誰かが始めたわけじゃなくて、室町幕府が持つ超強力な『管領システム』がもたらした必然的な崩壊とも言えるのよ。 そして、その崩壊した日本をもう一度『一つの政府』にまとめ上げようとしたのが、信長であり、秀吉であり、家康なわけ。彼らは、みな守護大名(自民党議員)ではなかったわけ」

サキ:「すごいスッキリした!」

エミ:「石破内閣がまさに、首相のリーダーシップが発揮できずに自民党(室町幕府)内で敵対派閥をつぶしあっているうちに、プチ応仁の乱(衆院選、参院選)で、連立政権である”室町的内閣”はあっけなく崩壊したよね。公明党が連立離脱したとき、私はニュース見て『うわっ、次に来るのは応仁の乱』(個人の感想です)って思ったわ。高市内閣で今のところ再興に成功しているけど、室町幕府とは違う未来になると良いけどね」

サキ: 「そうだね(笑)。激動の日本の未来は分からないけど、とりあえず、秀吉と秀長たちがどうやってリセットしていくのか……『豊臣兄弟!』が楽しみだよ。エミちゃん、第一話、絶対一緒にリアタイしようね!」

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