涙なしには見られない牧谿の国宝「観音猿鶴図」深堀り 京博「宋元仏画展」追加感想

図録を見返して熱が再燃

牧谿筆の国宝の《観音猿鶴図》大徳寺 購入したポストカード、実物はめちゃくちゃでかい!

サキ: ねえエミちゃん、あの宋元仏画展からもう2週間経つけど、まだ図録見てるの?

エミ: 見てる見てる…。見れば見るほど、あの時の感動が蘇ってきて。特に、牧谿の国宝「観音猿鶴図」(大徳寺)。

サキ: あー…。わかる。私も、いろんな作品に圧倒されたけど、結局最後に心に残ってるのって、あそこにいた観音様と、あの猿たちなんだよね。

エミ: だよね!展覧会全体の感想は(もう書いたから)さておき、今日はあの『一枚』の絵…いや『三幅』の絵が、いかに凄かったか、それだけを語り尽くしたくない?

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サキ: いいね!じゃあ、あの喫茶店での涙の理由(わけ)を、もう一度深掘りしますか(笑)

エミ: そう!なぜ私たちは、あの絵の前であんなに心を揺さぶられたのか…。徹底的に深堀しよう!

喫茶店で凶器的分厚さの図録をめくりながら

サキ: 私、最初みたとき、観音、猿、鶴のあの三幅って、てんでバラバラのテーマだから、後世の人が組み合わせたんだと勝手に思ってたの。でも、もう今は元々一具(セット)として制作されたって見るのが共通認識なんだってね。

エミ: そう。観音様の静寂に対して、猿と鶴の鳴き声(猿啼・鶴唳)っていう音声の対比になってる。この組み合わせ、師匠の無準師範の観音大士賛っていう漢詩の句とも関連があるらしくて、もう構成が完璧なのよ。

国宝《無準師範像》東福寺(購入したポストカード)

サキ: 無準師範? あの国宝の渋いイケオジ!

エミ: そうそう、あのイケオジ高僧のお弟子さんなんだよ、牧谿って。だからあの3幅は、観音様が救う衆生の象徴としての“三聖(観音・猿・鶴)”の意味なのかなって図録を読んでいて。…そっか、それでまた泣いちゃったんだ、わたし…。

中国では酷評も日本で大ブレーク

サキ: 牧谿は日本で最も敬愛された中国画家って図録に書いてあるね。

エミ: 図録によると、牧谿は当時の中国でも「高雅な趣があった」と評されている一方で、「粗悪にして古法なし」と酷評もされていたんだって。

サキ: そうなんだ!中国ではイマイチな評価だったけど、室町幕府の足利義満をはじめとする足利将軍たちが東山御物(ひがしやまごもつ)として熱狂的に収集して、日本で神格化されたっていう歴史も面白いよね。

エミ:実は足利義満の鑑蔵印『道有』『天山』がバッチリ捺されてたよ。

サキ: あれが権威の証拠なのね。

開かれた牧谿 フォロワーも続々

エミ: そう!しかも、その将軍家コレクションが、後に大徳寺に寄進されたことで、牧谿が『開かれた存在』になったんだって。だから、長谷川等伯とか後世の画家たちが、あの絵を教本として学ぶことができたんだよ。

サキ: うわー…歴史のロマン。じゃあ、長谷川等伯は、その開かれた宝物を直接見て、あの「枯木猿猴図」(重要文化財)を描いたんだ!

エミ: そういうこと!牧谿の粗放な筆づかいや墨の濃淡を学びつつ、等伯はあえて静謐さとは違う、自分流の躍動感あふれる傑作に創り変えたって説明されているね。まさに二人の力量をそれぞれ見せつけられた気がしたよ!

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