戦車T-90とT-80の違いはiPhoneとiPadの差で考えるとわかる気がする

ロシアがウクライナに侵略戦争をはじめて10日が経ちました。
ツイッターでは主にウクライナからの情報が積極的に発信されています。すごいのは、ウクライナ語のツイートもツイッターのアプリではワンタッチで翻訳してくれるのでだいたい大意がわかることです。ゼレンスキー大統領はウクライナ語と英語でツイートしていますが、岸田首相との電話会談も、岸田首相や内閣府よりも早く、ゼレンスキー大統領のツイートで知ってしまうくらい。
日本でもプロ・アマ問わず軍事研究専門家が多く重要なツイートをリツイートするなどしているので、世界(ロシアをのぞく)と同等のレベルとスピードで情報入手ができてしまう、すごい時代になったものです。
軍事ツイッターが盛んにツイートしているのが、破壊されたり、奪取された戦車などの情報です。
軍事専門家では常識なのかもしれませんが、戦車だけでも「T-72」「T-80」「T-90」の3種類が出てきます。
数値があがるほど高性能で最新かと思っていましたが、実はそうとも限らないようです。


例えば「T-80U」と「T-80BVM」だと、前者をロシアが使っていると「ロシア軍雑魚」となり、後者のロシア戦車が奪取されると「アメリカが欲しがるやつだ」と(大はしゃぎ)しているのですが、ピンと来ませんでした。
普通は、Bのほうが古くてUのほうが新しいと思うのですが。
Wikipediaも細かすぎて逆に分からなくなったので、『戦車 その凄さに驚く本』(博学こだわり倶楽部編、KAWADE夢文庫、2014年)がバーゲンブックで売っていたので、買って読んでみて、なんとなく分かってきました。

ざっくり言うと
T-72 ipod
T-80 iPad
T-90 iPhone
と考えるといいみたいです。同じiPhoneでもiPhone3GとiPhone13では雲泥の差があるので、単に「T-80」とかだけでなく、その後ろにつく「U」や「BVM」とかの第○世代的なものが実際の優越を決めるようなのです。

ロシアの現行の主力戦車はT-80とT-90のようです。
この本によると、戦後のソ連時代は、T-72が安くて性能の高いとして世界的な名戦車でした。ところが、湾岸戦争では、イラク軍のT-72がアメリカのエイブラムス戦車に全く歯が立ちませんでした。そこで、軽くて安い新しい主力戦車としてロシアがT-90を開発したそうです。だから、ipodとiPhoneが似ているように、T-72とT-90は設計思想などが似ているんだとか。T-90は戦車としては安くて1台1.4億円程度(48ページ)ですが、iPhoneよりは高いですね。

番号的には若い数字ですが、実はT-90よりも性能が高いのがT-80。
Wikipediaを見ると、どうやらT-80は量産された?のは「U」シリーズで1985年で、その後のバージョンアップでも「UK」「UD」「UM」と「U」がずっと付けられていたのが、2017年の「BVM」となり、大幅な近代化がされて、どうやら「T-80U」と「T-80BVM」はかなり性能差があるみたいです。なので、ツイートで「T-80BVM」と書かれていたら、それは戦況を左右する貴重な情報と判断できそうです。

ウクライナ戦争が進んで、この1週間ほど、多くのツイッター専門家たちを悩ましているのは、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を攻めるロシア軍がキーウから30キロほどのところで突如、60キロ以上もの長さの列となって進軍を止めていることのようです。
プーチンの過信からゼレンスキーの覚醒まで、色々な理由と原因があるわけですが、この本を読んで、なるほどと思ったのは、戦車って長い走行距離を走れないんだそうですね。特に燃費の問題。

T-80は戦闘能力の高さに振っているので、ヘリコプターや飛行機などにも使われている軽量・小型で主力の高いガスタービンエンジンを採用。これはアメリカの主力エイブラムスと同様で、「戦場における理想的なエンジン」(30ページ)。「ただ、ガスタービンエンジンは燃費が悪い。通常の走行時はともかく、低速時やアイドリング時の燃費がきわめて悪いのだ。たとえば、エイブラムスの燃料搭載量は、他国の第3世代の戦車と比べて2倍近いのだが、それでもエイブラムスを動かすには1日の3回の給油が必要なのだ」(30ページ)。

ウクライナ軍の必殺の武器はドローン爆撃機のようなので、ロシア部隊にとって対空砲はフルタイムでエンジンかけていないといけないでしょうけど、1日に3回も給油が必要な戦車にはなかなか補給が回ってこないのかもしれません。
燃料切れで動けない戦車は、乗務員にとって棺桶にしか見えないでしょうから、放棄されている先頭車両の中で、防御力が高いはずの戦車がけっこうな比率あるのは、この燃費の問題なのかもしれませんね。

T-80やT-90のことかはわかりませんが、「戦車のなかには、弾薬と燃料の補充だけで、1時間以上かかるものもある」(40ページ)だそうです。
戦車は故障がつきもので、西側の整備のよくされた戦車でも、時速30キロで3時間、100両の戦車が進軍したとき、30両近くが故障するという試算があるそうです。(110ページ)

あとキャタピラのことは履帯(りたい)と言うそうです。キャタピラは商品名で、一般名詞では無限軌道、英語ではクローラーかトラックベルトで、軍事用語で「履帯」なんだそうです。履帯と言っているツイッターは軍事プロっぽいということですね。

今も昔もキャタピラ部分が戦車の弱点で、ここはどうしても良く切れてしまう。その際に、交換もできるけど、仕組み上、車体の3倍のスペースが必要になるそうです。戦闘中は交換は乗員がやるけど、外に出ないといけないので、狙い撃ちにされる危険があります。キャタピラは当然、地雷にも弱い。

また、かつてはヘリコプターや戦闘機からしか上空の攻撃がなかったのが、歩兵の対戦車ミサイルが進化して、「トップアタック・モード」を備えたことで、より戦車は危険が増えたそうです。(126ページ)よくツイッターで見るようになった「ジャベリン」ですね。

ソ連で開発が先行した対戦車無反動砲(RPG)の射程が500メートルと戦車の射程内に入る危険を冒さないといけないのに対して、対戦車ミサイルの射程は3キロ~6キロ。対戦車ミサイルの弱点は、値段の高さだけらしいので、西側から次々に(無償なのかしりませんが)大量の対戦車ミサイルが支援されて送られているとの報道が相次いでいるので、きちんとウクライナ軍の前線にそれが届くのなから、当初絶望的といわれていたキーウ防衛戦の先行きも左右しそうです。

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