【文化財ニュース11月4日】どうなる書道の「世界遺産」?! 串本応挙芦雪館、岐阜市歴史博物館オープンなど7本

【2026年11月4日(水) オフィス街のカフェ 朝】

エミ:「今日は7本よ。きのうの祝日で仕事が溜まっているから、サクサクいくわよ」

サキ:「さすがしごできだ。私はまだお休み気分だよ」

1 「書道」のユネスコ無形文化遺産、評価機関の勧告の公表が延期 ユネスコ「作業完了せず」

サキ:「書道? 習字の書道が無形世界遺産?」

エミ:「そう。あの書道よ。日本が『日本人の暮らしに深く根ざした社会的慣習』として、ユネスコの無形文化遺産、いわゆる無形世界遺産に申請しているの。2024年に申請して、2025年に出し直したんですって。ちなみにユネスコ無形文化遺産は和食や歌舞伎・能楽なんかがすでになっているわ」

サキ:「書道が世界の遺産になるかもしれないんだ。で、どうなったの?」

エミ:「登録にふさわしいかどうかを審査する評価機関の勧告が、日本時間の11月3日の朝8時までに出る予定だったの。それが間に合わなくて、3日の夕方以降に延期になったそうよ。ユネスコの事務局から『すべての国の案件について、予定の作業が完了しなかった』って連絡があったみたいね」

サキ:「日本だけじゃなくて全部の国が? 世界中の審査を一度にやるなら、そりゃ大変だよね(笑)」

エミ:「正式に決まるのは、11月30日に中国のアモイで始まる政府間委員会よ。登録の審査は12月1日から3日の予定なんですって。登録されれば国内で24件目になるの」

サキ:「じゃあ勧告が出たら、それで決まりってこと?」

エミ:「日本書道文化協会も『勧告は登録の決定ではない』って注意を呼びかけているわ。本番は12月ね」

サキ:「学校の書き初めくらいしか書いてないけど、なんだか応援したくなるね。どきどきしながら待とう」

出典:産経新聞/中日新聞(共同)/NHK/公式:日本書道文化協会


2 和歌山・串本の「串本応挙芦雪館」、収蔵庫の改修が完了 長沢芦雪の重文「竜図襖」「虎図襖」が地元で再公開

エミ:「次のニュースは円山応挙とその弟子の長沢芦雪ろせつ。和歌山県串本町の無量寺むりょうじにある『串本応挙芦雪館』の収蔵庫の改修が終わって、10月24日から再開しているの」

サキ:「串本って、本州のいちばん南の町だよね。そこに応挙と芦雪の美術館があるんだ」

エミ:「芦雪と応挙たちの障壁画55面を、お寺の本堂の間取りどおりに並べて見せてきた収蔵庫なのよ。1990年にできたんだけど、2008年ごろから天井にカビやシミが出ていたんですって」

サキ:「美術品にカビは大敵だよね。どう直したの?」

エミ:「天井を全面的に張り替えて、照明を美術品用に替えて、外の空気が入りにくい風除室ふうじょしつをつくって除湿しやすくしたそうよ」

サキ:「湿気は入口から入ってくるから、まずそこで止めるのは理にかなってると思うよ。海の近くだし、なおさらだね」

エミ:「改修のあいだ、重要文化財の芦雪の『竜図襖』と『虎図襖』は、東京の府中市美術館や和歌山県立博物館に出張していたの。府中市美術館では8万4千人も来たんですって」

サキ:「出張先で8万人! 人気者が地元に帰ってきたんだ」

エミ:「本堂の間取りで見る竜と虎は、やっぱり特別よ。南紀に旅行する人はぜひ立ち寄ってほしいわね」

サキ:「お寺の部屋の並びのまま見られるのはいいね。いつかは本場で見てみたいな」

出典:朝日新聞/NHK/公式:無量寺 お知らせ


3 兵庫・豊岡の隆国寺で、岸派の襖絵36面が2年半の修復を終えて無料公開 11月10日まで

サキ:「襖絵の話が続くね」

エミ:「襖絵つながりでもう一本。兵庫県豊岡市日高町の隆国寺りゅうこくじにある、県指定文化財『隆国寺障壁画』よ」

サキ:「ごめん、隆国寺って初めて聞いた。どんな襖絵なの?」

エミ:「私も初めて知ったわ。江戸時代後半の画壇を代表する岸派きしはが描いた36面の襖絵なんですって。2年半かけた大がかりな修復が終わったのを記念して、特別に無料で公開しているの。修復は奈良市の文化財保存っていう会社が手がけたそうよ」

サキ:「2年半! 36面もあると、それくらいかかるんだね」

エミ:「申し込みはいらなくて、フラッシュを使わなければ写真をSNSに投稿してもいいんですって」

サキ:「修復したての襖絵を撮れるのはうれしいね。11月10日までなら、今週末はまだ間に合うじゃん。無料っていうのも太っ腹だね」

出典:公式:豊岡市 県指定文化財「隆国寺障壁画」修復記念公開


4 山口・防府の毛利博物館で特別展「国宝」 雪舟「四季山水図」など毛利家の名品 12月7日まで

サキ:「次は山口? 毛利って、戦国の毛利元就の毛利?」

エミ:「そう、その毛利家よ。山口県防府市の毛利博物館で、毛利家に伝わった国宝と重要文化財をまとめて見せる特別展『国宝』が、10月30日から始まっているの」

サキ:「展覧会名が『国宝』ってストレートすぎない?」

エミ:「それだけ自信があるってことよ。だって国宝の雪舟筆『四季山水図』が出るのよ。……ああっ、山水長巻!」

サキ:「さんすいちょうかん? なにそれ」

エミ:「雪舟の水墨画の巻物で、春から冬へ移っていく山や川や町を、ひと続きにずーっと描いたとても長い絵巻なの。雪舟の最高傑作のひとつとも言われていて、巻物を広げていくと季節が流れていって……」

サキ:「雪舟って、涙でネズミを描いた子どものお坊さんの話の人だよね?」

エミ:「そうそう、その雪舟が大人になって描いた大作なのよ。……それで、もう一つの国宝が『古今和歌集(高野切こうやぎれ本)』。平安時代の美しい仮名の写本ね」

サキ:「ネズミの話は覚えてるのに、大人の作品は知らなかったな(笑)。会期はいつまで?」

エミ:「12月7日までよ。毛利家のお庭も一緒に楽しめるみたいね」

サキ:「お庭を歩いて、国宝の巻物も見られるのかぁ。いつかは行ってみたいな」

出典:公式:山口県観光サイト 毛利博物館 特別展「国宝」/公式:毛利博物館


5 岐阜市歴史博物館が約1年ぶりにリニューアルオープン 信長の戦国時代を目玉に

サキ:「毛利の次は、戦国つながりで信長かな?」

エミ:「正解。岐阜公園の中にある岐阜市歴史博物館が、約1年ぶりに11月3日、リニューアルオープンしたの。開館から40年を超えているんですって」

サキ:「40年超え! それで、何が変わったの?」

エミ:「2階の総合展示室を、昔から順番にたどる通史の展示から、信長が岐阜城主になった戦国時代を中心にした展示に改めたそうよ。武家屋敷の再現に、火縄銃のバーチャル射撃、戦国衣装の着付け体験まであるんですって」

サキ:「火縄銃のバーチャル射撃! それはやってみたい」

エミ:「信長の朱印状や刀なんかの実物の資料は、定期的に入れ替えて見せるみたい。それから、かつて岐阜の市内を走っていた丸窓電車を復元して、車窓のモニターに戦国時代のCG映像を流すのよ」

サキ:「電車の窓から戦国時代が見えるの? タイムマシンじゃん」

エミ:「館長も『見るだけでなく、楽しみながら「好き」を深める体験型施設になる』と話しているわ。11月22日には岐阜城跡の山の上の発掘成果を扱う記念講演会もあるし、11月6日からは記念特別展としてイマーシブ展示『動き出す浮世絵展』も始まるの」

サキ:「バーチャルなコンテンツがモリモリだね。岐阜城に登るついでに、押さえておきたい博物館だね」

出典:岐阜新聞/中京テレビ/公式:岐阜市 岐阜市歴史博物館のリニューアルオープンについて


6 石川・羽咋の大雨の被災資料から、約60年行方不明だった獅子舞の「天狗烏帽子」

サキ:「タイトルがなんか不思議なニュースだね。天狗の烏帽子えぼし?」

エミ:「石川県羽咋はくい市の話よ。8月下旬の記録的な大雨で浸水した建物から、歴史資料を救い出す文化財レスキューをしていたら、その中から、長いあいだ行方が分からなかった『えぼし』が見つかったんですって」

サキ:「被災した建物の中から? どれくらい行方不明だったの?」

エミ:「菱分町の獅子舞で、天狗役がかぶる『天狗烏帽子』で、泥の中から61年ぶりに見つかったそうよ。これで獅子とそろったって、町の人たちが喜んでいるみたいね」

サキ:「泥の中から61年ぶり! 大雨はつらいけど、そのおかげで見つかったなんて、なんだか複雑だね」

エミ:「能登の地震に続いて、地域のお祭りの道具を災害から救う活動が実を結んだ例なの」

サキ:「お祭りの道具って、国宝とかじゃなくても、町の人にとっては代わりのない宝物だもんね。天狗さん、おかえりなさいだ」

出典:NHK/北國新聞


7 大阪中之島美術館で大英博物館の日本美術コレクション「百花繚乱」開幕 応挙「虎の子渡し図屛風」が初の里帰り

エミ:「最後は、10月31日から始まったこの展覧会を紹介しておくわ。大英博物館の日本コレクションは約4万点もあるんですって。その中から、江戸絵画と浮世絵の名品約200件を紹介する展覧会よ。東京都美術館からの巡回で、大阪が最後の会場なの」

サキ:「4万点! 日本の美術館より多かったりして」

エミ:「目玉は円山応挙の『虎の子渡し図屛風』。日本で初めて出品されるそうよ。喜多川歌麿の肉筆画『文読む遊女』も日本初出品みたいね」

サキ:「歌麿って浮世絵の版画の人だよね。肉筆ってことは、手描きの一点ものか」

エミ:「そう。まさに大英博物館の虎の子ね……虎だけに」

サキ:「はいはい(笑)。ほかには?」

エミ:「もうひとつ注目なのが、奈良の談山たんざん神社にあって、明治のころに流出した狩野派の襖絵。大英博物館と、アメリカのシアトル美術館と、青森県中泊町の宮越家に分かれていたのが集まって、約150年ぶりに再会するんですって」

サキ:「ロンドンとシアトルと青森!? ばらばらになりすぎでしょ。150年ぶりに家族がそろう感じだね」

エミ:「会期は来年1月31日まで。地元の人はもちろん、年末年始に大阪に行く人にもちょうどいいわね」

サキ:「ロンドンまで行かなくても見られるのはありがたいね。いつかは本家の大英博物館にも行ってみたいけど」

出典:朝日新聞/公式:大阪中之島美術館 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱

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