【2026年10月26日(月) 駅前のカフェ 朝】
エミ:「週明けの文化財ニュース、今日は11本持ってきたわよ。トップは小布施の北斎館にフランス帰りの北斎が戻ってきた展示ね」
サキ:「月曜の朝から11本……。エミちゃん、コーヒーおかわりしていい?」
エミ:「数は多いけど、比較的軽めだから」
- 1 小布施の北斎館で「EXPOSITION HOKUSAI」凱旋展が開幕
- 1 浜松・郷ケ平古墳群の出土遺物567点が静岡県の文化財へ
- 3 一関・室根神社特別大祭が2年ぶりに開催
- 4 「那智の田楽」国指定50周年で記念公演、フルバージョンを披露
- 5 一乗谷朝倉氏遺跡博物館と飛騨市が協定、雪国の保全技術と3D計測を共有
- 6 国史跡・名勝「旧有備館」で秋のライトアップ、7日間限定
- 7 正倉院展、開幕日から来館者が宝物に見入る
- 8 高知で国民文化祭が開幕、両陛下が開会式に
- 9 葛飾・恵明寺で重要文化財「木造不動明王立像」を特別公開
- 10 「呪術の秋」、岩手の博物館で「まじない」の展示が相次ぐ
- 11 古墳エピソード集『古墳探偵がゆく』、今城塚古墳の地震跡と仁徳天皇陵の焼夷弾
1 小布施の北斎館で「EXPOSITION HOKUSAI」凱旋展が開幕
サキ:「北斎がフランスから帰ってきたって、どういうこと?」
エミ:「長野県小布施町の北斎館が、昨年6月から約2カ月、フランス西部ナント市のナント歴史博物館(ブルターニュ公爵城)で企画展『小布施 北斎の傑作』を開いたの。そこに約15万人が訪れたんですって」
サキ:「15万人! フランスでも北斎って大人気なんだ」
エミ:「その約160点が地元に戻ってきて、開館50周年記念の凱旋展が10月24日に始まったのよ。昭和51年の開館以来集めてきた肉筆画などね」
サキ:「どんな作品が並ぶの?」
エミ:「『上町祭屋台天井絵 男浪』、『冨嶽三十六景』や『諸国瀧廻』の錦絵、宗理期の役者絵や摺物、それに絶筆に最も近いとされる『富士越龍』も。前期は12月6日まで、後期は12月9日からで、会期は来年1月17日までよ」
サキ:「前期と後期で入れ替えか。二回行かないとダメなやつだ。長野県民はマストだね」
エミ:「内覧会ではナント市のエメリック・セソー副市長が『これからも小布施との交流を続けていきたい』とあいさつしたそうよ。入館料は一般1200円、高校・大学生500円、小中学生300円ね」
サキ:「フランスの15万人が見たものを、日本で見られるのはお得感あるね」
出典:産経ニュース/公式:北斎館 フランス ナント「EXPOSITION HOKUSAI」凱旋展 小布施 北斎の傑作
◇小布施には小林一茶の「やせ蛙負けるな一茶これにあり」で有名な岩松院があります。
1 浜松・郷ケ平古墳群の出土遺物567点が静岡県の文化財へ
サキ:「567点って、ずいぶんまとめて指定されるんだね」
エミ:「静岡県文化財保護審議会が10月23日、浜松市が持っている『郷ヶ平古墳群出土遺物』計567点を、県指定有形文化財(考古資料)にするよう知事に答申したの。埴輪に須恵器、土師器などよ」
サキ:「古墳群って、どんな古墳?」
エミ:「浜松市浜名区都田町にあって、5世紀後半から6世紀中ごろに築かれたの。地域の有力者を葬ったとみられる全長20メートル前後の前方後円墳3基などからなるわ。1998年から2013年にかけて、6回も発掘調査されているのよ」
サキ:「目玉は?」
エミ:「馬形埴輪ね。長さ103センチ、高さ70センチ。原型どおりに全体を復元できたのは、県内でこれだけなんですって」
サキ:「1メートル超えの馬かぁ。けっこう大きい」
エミ:「もう一つ面白いのが、埴輪の『出身地』。大阪府南部の淡輪地域と、愛知県西部の尾張地方、それぞれを発祥とする2種類の埴輪が出ているの。当時の最新技法がどう伝わったかが分かる資料とされているわ」
サキ:「西からと隣からと、二つのルートの技術が浜松で合流してたってこと? 技術の伝わり方が見えるの、ちょっとワクワクするね」
エミ:「浜松市博物館の鈴木一有館長は『古墳時代中後期の社会状況がわかる基準的な資料だ』と話しているわ。出土品の一部は同館の常設展で見られて、来年2月13日には関連講座もあるそうよ。埴輪だけに、はにわかには信じられない数ね」
サキ:「……おかわり、もう一杯いるかも」
出典:読売新聞/中日新聞しずおかWeb/朝日新聞
3 一関・室根神社特別大祭が2年ぶりに開催
サキ:「次はお祭り?」
エミ:「そう。この週末は、国の重要無形民俗文化財の祭りが各地であったの。まずは岩手県一関市室根町の室根神社特別大祭。2年ぶりに開かれて、10月23日から25日までの3日間、国の重要無形民俗文化財『マツリバ行事』などが繰り広げられたのよ」
サキ:「歴史はどれくらいあるの?」
エミ:「1300年以上とされているわ。担い手不足に直面しながらも、地域は活気に満ちて、みんなで伝統をかみしめたと伝えられているの」
サキ:「人が減っても続けるって、やっぱり大変なんだろうね」
出典:岩手日報
4 「那智の田楽」国指定50周年で記念公演、フルバージョンを披露
サキ:「那智って、あの世界遺産の那智三山?」
エミ:「そう。世界遺産・熊野那智大社に伝わる国の重要無形民俗文化財『那智の田楽』が指定50周年を迎えて、10月25日に和歌山県那智勝浦町の体育文化会館で記念公演があったの。入場無料よ」
サキ:「田楽って、そもそも火祭りとどういう関係?」
エミ:「7月の『那智の扇祭り(火祭り)』の宵宮と本祭で、扇神輿が出御する前に奉納される神事芸能なの。中世に流行した田楽躍の姿をよく伝えるものとして、ユネスコの無形文化遺産にも登録されているわ」
サキ:「火祭りの前座じゃなくて、ちゃんと主役級なんだね」
エミ:「公演では県教育庁文化遺産課の職員さんの解説のあと、田楽がフルバージョンで披露されて、最後に餅まきも予定されていたそうよ」
サキ:「解説付きでフルバージョン、しかも餅まき。それは行った人は楽しかっただろうね」
出典:WBS和歌山放送ニュース
5 一乗谷朝倉氏遺跡博物館と飛騨市が協定、雪国の保全技術と3D計測を共有
サキ:「“あさみゅー”って何?」
エミ:「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館の愛称みたいね。室町時代の武家館『江馬氏城館跡』がある岐阜県飛騨市と協定を結んで、文化財の保全に一緒に取り組むことになったの」
サキ:「お互い何を出し合うの?」
エミ:「一乗谷側は、雪の多い地域での文化財保全のノウハウ。飛騨市は得意の3D計測の技術を遺跡の精密な調査に生かすんだって」
サキ:「3D計測! データを重ねられたら比較がすごく楽になりそう」
エミ:「まさにそれね。博物館も『複数の史跡とデータを重ね合わせることで、さらに新たな発見や保全・活用のより良い方策が思い描ける』としているわ。今後は共同の展覧会も計画しているそうよ」
サキ:「戦国の館どうしの共同展、ちょっと見てみたいかも」
出典:FBC NEWS NNN
6 国史跡・名勝「旧有備館」で秋のライトアップ、7日間限定
サキ:「宮城の有備館って?」
エミ:「仙台藩岩出山伊達家の学問所よ。国の史跡・名勝に指定されている『旧有備館』で、紅葉の時期に合わせた夜間ライトアップが10月24日に始まったの」
サキ:「毎日やってるの?」
エミ:「7日間だけ。10月24・25・31日と、11月1・3・7・8日ね。点灯は午後5時から8時で、最終入館は7時30分、雨の日は中止よ」
サキ:「見どころは?」
エミ:「庭園の水面に建物と木々が映るの。入館料は一般400円、高校生300円、小中学生200円」
サキ:「水面に映る紅葉って、写真映えしそう。次は31日か」
エミ:「近くの鳴子温泉に湯治に行く予定のある人はぜひ立ち寄ってほしいわね」
出典:NHKニュース/公式:大崎市 秋の有備館ライトアップ
7 正倉院展、開幕日から来館者が宝物に見入る
サキ:「正倉院展、もう始まってるよね。人はどうだった?」
エミ:「ニュースをみると、10月24日の開幕日は、午前8時の開場から多くの人が訪れたそうよ。漆胡瓶を見た人からは『なぜこんな形なのかが気になった』って声が出ていたの」
サキ:「わかる。ポスターのあの形って気になるよね」
エミ:「ガラスの白瑠璃瓶には『透明なまま当時の色を保っているのはすごい』という声も。ほかにも献物箱の『密陀彩絵箱』、方形の鏡『鳥獣花背方鏡』、碁石入れの『金銀絵碁子合子』、透かし彫りの『金銅花形合子』なども人を引きつけているわ」
サキ:「ガラスが透明なことって、材料的にも技術的にも実はかなりすごいことなんだよ」
エミ:「それから地下回廊には、9月の『こども記者in正倉院』に参加した子どもたちが作った新聞も展示されているのよ」
サキ:「子ども記者の新聞、意外とそっちが一番刺さるかも(笑)」
出典:読売新聞
8 高知で国民文化祭が開幕、両陛下が開会式に
サキ:「国民文化祭って、今年は高知なんだ」
エミ:「そう。天皇、皇后両陛下が10月25日、高知市で開かれた第41回国民文化祭と第26回全国障害者芸術・文化祭の開会式に出席されたの」
サキ:「陛下はどんなお言葉を?」
エミ:「『地域の伝統や文化の魅力が再認識されるとともに、文化芸術活動の裾野が更に広がり、新たな文化の創造につながっていくことを期待しています』と述べられたわ。式典では高知の歴史や魅力を伝える演劇や、よさこい鳴子踊りも披露されたのよ」
サキ:「よさこい、本場で見たら迫力ありそう」
エミ:「両陛下は今日26日、いの町の紙の博物館と、高知市の県立美術館を訪問されるそうよ」
出典:読売新聞
9 葛飾・恵明寺で重要文化財「木造不動明王立像」を特別公開
サキ:「東京でも何かある?」
エミ:「葛飾区亀有の恵明寺で、国の重要文化財『木造不動明王立像』が特別公開されているの。毎年11月1日から7日の『文化財保護強調週間』に合わせて、葛飾区が所有者の協力を得て公開しているのよ」
サキ:「いつ見られるの?」
エミ:「10月24・25・26・29・30・31日の6日間。いずれも午後2時から4時で、26・29・30日は午前10時から正午も見られるわ。しかも無料」
サキ:「今週は平日の日中じゃん。会社サボって……とは言わないけど」
エミ:「言ってるようなものよ。会場は恵明寺(葛飾区亀有3-32-25)ね」
出典(公式):葛飾区郷土と天文の博物館
10 「呪術の秋」、岩手の博物館で「まじない」の展示が相次ぐ
サキ:「呪術の秋? 食欲の秋じゃなくて?」
エミ:「岩手県内の博物館施設で、なぜか『呪術』や『まじない』の展示が同時多発的に開かれているんですって。理由ははっきりしないそうよ」
サキ:「偶然かぁ。それはそれでちょっと不気味というか、シンギュラリティでしょ」
エミ:「奥州市江刺岩谷堂のえさし郷土文化館では、コーナー展示『祈りと畏れのかたち』を開催中。祈りと畏れは表裏一体だという考えから、得体の知れない力に頼りながら恐れもした、その両面が形になったものを『呪物』としてとらえているの」
サキ:「頼るのに怖い。なんか人間っぽい感情だね」
エミ:「オシラサマと一緒にまつられていたという『腕形』なども並んでいるそうよ」
出典:岩手日報
11 古墳エピソード集『古墳探偵がゆく』、今城塚古墳の地震跡と仁徳天皇陵の焼夷弾
サキ:「最後は本?」
エミ:「産経新聞大阪夕刊の連載『THE 古墳』を書籍化した、小畑三秋さんの『古墳探偵がゆく』(1650円)よ。文化財取材歴30年以上の記者さんが、関西の9つの墳墓の発掘現場で拾ったエピソード集なの」
サキ:「どんな話が入ってるの?」
エミ:「たとえば大阪府高槻市の今城塚古墳。伏見城が倒壊した1596年の慶長伏見地震の地滑り跡が、くっきり残っているんですって。ある考古学者はそのうねりを『葛飾北斎の「富嶽三十六景」のよう』と話しているのよ」
サキ:「さっきの北斎とつながった! 古墳に波の絵が描かれてるみたいな感じかな」
エミ:「それから堺市の仁徳天皇陵。堺大空襲で300発以上投下された焼夷弾が、御陵に突き刺さる形で見つかったの。でも梅雨明け前で木が湿っていたから、燃え広がらずに済んだそうよ」
サキ:「湿気が古墳を守ったんだ。物理的にも納得の理由だね」
出典:産経ニュース
エミ:「というわけで、今日は十一本。北斎凱旋から、埴輪の馬、お祭りに呪物まで、盛りだくさんだったわね」
サキ:「最後に北斎が古墳で出てきたの、ちょっと出来すぎじゃない?」
エミ:「偶然よ。……たぶん。呪術の秋だし」


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