【書評】『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』(ひろゆき著)

2ちゃんねるの創設者で、いまでは忖度なしのテレビコメンテーターとして有名なひろゆき氏(西村博之)の『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』を読了。

2ちゃんねる時代のひろゆき氏は、物事を冷笑する態度で、蛇蝎のごとく嫌われてきた。

ところが、年齢が四十代になると、こうした冷笑的な態度は、評論家として、評価されるようになっている。

おそらくひろゆき氏自身は立ち位置を変えていないのに、年齢というレッテルが、勝手に社会のほうが見方を変えたのだろう。

ひろゆき氏が本書で批判する日本の高齢者有利の現状を、くしくも、自ら体現したという点で興味深い。

本書は、社会・仕事・教育・政治・人間関係の分野ごとに「衝撃の真実」を示す、という内容だ。

内容的には、年齢格差、収入格差、金持ちであることが「遺伝」的にも、社会構造的にも子世代に継続されやすい仕組みなど、橘玲の『不都合な真実』と、似たりよったりな面はあるものの、知っておきたい情報が並ぶ。

むしろ、ときおり、示される〈常識的な考え〉が重要ではないかと思う。

2ちゃんねるが、ほかの匿名掲示板との競争に勝ったのも、ほかの匿名掲示板より頑張ったからてはなかったとの自覚(単に運が良かった)も、大学は卒業したほうがいいとのことも、冷めた視点での、「常識」こそがこの本で得たい、独自の情報であるとも言える。

電車や喫茶店でサラッと読む価値はある。

関連記事

  1. 深緑野分『ベルリンは晴れているか』の書評や名言、まつわる史実

  2. サーキュラー・エコノミーとはなにか?持続可能、SDGs、クローズドループ

  3. 法月綸太郎の『赤い部屋異聞』を読んでから原作の江戸川乱歩「赤い部屋」を読んでみたところ

  4. 道化として生きている社会人のための小説『半沢直樹 アルルカンと道化師』(池井戸潤)

  5. 【書評】『理系読書』(犬塚壮志)ある意味画期的かつ本質的な読み方

  6. 地図が大盛り「歴史人」2018年6月号の特集「戦国時代の全国勢力変遷地図」

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。