【2026年10月27日(火) 駅前のカフェ 朝】
エミ:「今日の文化財ニュースは5本よ。トップは群馬の古墳から出た、巫女の人物埴輪の初公開ね」
サキ:「昨日は馬で、今日は巫女さん? 埴輪づいてるね」
1 伊勢崎・西上之宮遺跡の巫女の人物埴輪、10月28日から初公開
サキ:「巫女の埴輪って、どうして巫女だってわかるの?」
エミ:「襷をかけた姿なんですって。群馬県によると、利根川の河川改修に伴う発掘で、西上之宮遺跡の1号古墳の周堀から見つかったそうよ。頭から胴体まで残っていて、保存状態もいいみたい」
サキ:「頭から胴まで! 埴輪って割れて見つかるイメージだったけど、けっこう残るんだね」
エミ:「5世紀後半の作で、県内でも古い段階の人物埴輪として貴重とされているの。1号古墳からは舟形石棺の一部も出ていて、古墳群の中心的な古墳とみられているわ」
サキ:「昨日の浜松の馬形埴輪と並べて見てみたいなぁ。馬と巫女さん、同じ時代の人たちが作ったんでしょ」
エミ:「ふふ、いい組み合わせね。公開は10月28日から1か月間、発掘情報館の2階よ。土曜は休館だから気をつけてね」
サキ:「土曜休みは要注意だ。平日か日曜に行かなきゃ」
出典(公式):群馬県 西上之宮遺跡出土の人物埴輪の初公開(報道提供資料)
2 東博「歌川広重 江戸のベストアングル」、2期は「木曽海道六拾九次」
サキ:「広重って、東海道五十三次の人だよね」
エミ:「そう。東京国立博物館の特別展『歌川広重 江戸のベストアングル』は、内山晋さん(故人)というコレクターの旧蔵の浮世絵1,025点を受贈したのを記念した展覧会なの。広重の三大シリーズを3期に分けて、期ごとに作品を全部入れ替えるんですって」
サキ:「全部入れ替え! 東海道五十三次は?」
エミ:「それが1期で終わっているから、きょうからの2期の『木曽海道六拾九次』が中心となるの、10月27日から11月23日まで。シリーズ全点を一度に見せるのは、国内外でも例がない機会だとしているわ。ちなみに私は1期に一人で行ったわ」
サキ:「ずるーい!中山道の宿場を全部並べるってことか。そっちも面白そうだよね」
エミ:「そうね。それにきょうから法隆寺宝物館で国宝『聖徳太子絵伝』の展示も始まるみたいなの。これはなかなか見られないレアもの国宝なのよ」
サキ:「……エミちゃん、一人でまた行く気でしょ」
エミ:「サキちゃんが一緒に行ってくれるならもちろん一緒に行くわ。大徳寺展は一緒に行く約束してるじゃない? それなのに広重も、って思いかなって」
サキ:「……もう、そんなことないよ。遠慮しないで」
エミ:「大徳寺展で3時間、広重展で1時間、法隆寺宝物館で1時間コースだけど」
サキ:「ひぇっ!広重展は一人で行って…」
出典(公式):東京国立博物館 展示・催し物
3 福岡県の特別史跡・王塚古墳、2年ぶりに石室を一般公開
サキ:「王塚古墳って、どこの古墳?特別がつくのって、遺跡の国宝で、レアなんだよね」
エミ:「そう、福岡県嘉穂郡桂川町にある装飾古墳として知られる国の特別史跡よ。遠賀川流域の古墳や遺跡を特別公開する恒例行事が……ああっ、遠賀川!」
サキ:「え、なに? 急にどうしたの」
エミ:「遠賀川って聞くと、考古学ファンはしびれちゃうのよ。『遠賀川式土器』……この響きだけでもう……」
サキ:「ふーん。遠賀川の、なにがそんなにすごいの?」
エミ:「遠賀川式土器はね、弥生時代のはじめごろの土器で、この遠賀川の流域で見つかったことから名前が付いたの。それが稲作と一緒に西日本の広い範囲に広がっていって、もっと東の地域でも似た土器が見つかっているのよ。つまり、お米づくりがどう伝わっていったかを追いかける手がかりになる土器で、そこから……」
サキ:「うんうん」
エミ:「土器の形や文様の特徴をたどっていくとね、どこまで、どのくらいの早さで……」
サキ:「……エミちゃん、それ長くなりそうだから、王塚古墳の話に戻ろっか」
エミ:「うっ……。そ、そうね。続きはまた今度ね」
エミ:「その恒例行事が10月17・18日にあって、王塚古墳は2年ぶりの一般公開だったの。隣の王塚装飾古墳館が火災に遭った影響なんですって」
サキ:「2年ぶりかぁ。待ってた人も多かったんじゃない?」
エミ:「見学者は2日間で2033人(受付分)だったそうよ。石室を補強する鉄骨の数を減らして、照明もLEDにして、壁画を見やすくしたみたい」
サキ:「補強の鉄骨を減らすって、安全とのバランスをかなり計算したんだろうなぁ。見やすくなったなら、いつかは行ってみたいね」
出典:西日本新聞me
4 飛鳥の岡寺に「飛鳥の見晴らし舞台」が完成、三重宝塔は鮮やかな朱色に
サキ:「飛鳥の岡寺?石舞台の近くにあったような記憶が」
エミ:「そうね、車で石舞台に行くときに左手にあるのが岡寺よ。そこにある三重宝塔の前に、見晴らし舞台が新しくできたそうよ。世界遺産『飛鳥・藤原の宮都』の地域を一望できるんですって」
サキ:「飛鳥を一望! それは見たい」
エミ:「宝塔も修繕されて、渋い丹色だった外観が朱色に塗り直されたの。この塔、1472年の暴風で倒れて、1986年に514年ぶりに再建されたものなのよ」
サキ:「514年ぶりに建て直して、40年で塗り直し。建物にも“お色直し”があるんだね」
エミ:「今回の工事では、開山忌の日だけ開く扉絵も修復されたそうよ」
サキ:「世界遺産でたくさん観光客が訪れるだろうから、こうやって眺めのいい場所が整備されるのはありがたいね」
出典:奈良新聞デジタル
5 三重の尾鷲・須賀利の普済寺、崩れかけた石垣を昔ながらの石積みで直すプロジェクト
サキ:「尾鷲、須賀利、普済寺。ごめん、一つも知らないや」
エミ:「三重県尾鷲市は和歌山との境のほうね。私も須賀利町や普済寺というのは初めて知ったわ。グーグルマップを見ると、半島というかほとんど島のように海に突き出た場所ね」
サキ:「なんか、絶景スポットぽい」
エミ:「お寺の発表によると、石垣の一部がせり出して、今にも崩れそうな状態なんですって。コンクリートで固めれば公費で直せるけど、それだと須賀利の景観が変わってしまうから、石積みでの修復を選んだそうよ」
サキ:「お金より景観を選んだってことか。かっこいいけど、大変そう」
エミ:「プロジェクトの特設ページを開いて、進み具合は節目ごとに特設ページと公式LINEで知らせていくそうよ」
サキ:「見た目だけじゃなくて、町の風景ごと残すってことだもんね。応援したくなるなぁ」
出典:普済寺特設ページ
エミ:「というわけで、今日は5本。巫女の埴輪から広重、塔のお色直しまでいろいろだったわね」
サキ:「でもエミちゃん、結局いちばん語りたかったのは遠賀川式土器でしょ」
エミ:「……それは否定しないわ」



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