700超ページの分厚い『独学大全』をようやく読み切った。著者の読書猿氏が辞典のように使ってと書いているので、隅から隅まで精読したわけではなく、本書で勧められてる掬書だ。
独学は楽しい。なにしろ、自分が知りたいことを知るための、自分を満たすための行為だからだ。
独学はつらい。なにしろ、自分以外に「無観客」での演劇のようなものだからだ。
著者は、独学には仲間が必要とする。独学の最も大きな壁は、モチベーションの維持だからだ。
自分が知りたいから、とは言っても、世界の人類を見渡せば、きっと同じ関心を持っている人がいるはず。できれば、そうした同志から、元気玉という承認欲求をほしいものだ。
その点で、インターネットの時代は、調べものをするだけでなく、モチベーションを保つためのツールとしても有効だ。
このブログでも、一つの記事を書くと、2桁台のアクセスがある。(自分自身とグーグルのクローラーだけかもしれないが、そこは突き詰めないことにする)
実際の世の中で、数十人の人が自分の話を聞いてくれる機会などほとんどない。
インターネットの時代に生まれた独学のヒーロー、読書猿。ヒーローにはなれなくとも、スクリーンのちょい役くらいにはなれるのが現代の独学の世界。十分に魅力的だし、その道すがらに、この独学大全を時々読み直したい。
人間にとって、好奇心こそが、霊長の種としての核である。
あらゆる人類の行動は、進化の産物であり、様々な環境下での生存に最適化するため、多種多様な行動や脳活動を生み出してきた。
人間の行動は、生存、生殖、社会、そして「知識欲(独学欲)」の4つの主要な欲求によって説明できる。 最後の独学欲こそ、「私自身」の存在につながる人類オリジナルな欲求だ。
生存欲求は、すべての欲求の中で最も基本的なものであり、それが共感性などの人間の特性を生み出し、好奇心とその対の警戒心を抱く性質と結びつくことで道徳性を生み出している。
生殖欲求とは、人間が性行為し、繁殖することを駆り立てる。 それは、一夫一婦制、一夫多妻制、多夫多妻制など、さまざまな種類の社会構造を生み出してきた。
社会的欲求とは、人間を相互に交流させ、共同体を形成しようと駆り立てるものである。 これが、階層社会や平等主義など、さまざまな種類の社会を生み出してきました。
知識欲の基本は、自分と他者の違いを知ることだ。
違いを知ることは、人種差別、性差別、その他の差別を生み出してきたという面もある。
違いを知り、その違い自体を楽しめるのが独学である、はずだ。
そんな独学ブームが本書をきっかけに起きてほしい。
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