【文化財ニュース11月1日〜3日】皇居三の丸尚蔵館がグランドオープン、卑弥呼の鏡など9本の話題

【2026年11月3日(火・祝) 文化の日のカフェ】

エミ:「今回は11月1日から3日までの3日分をまとめて、9本よ。トップは、皇居三の丸尚蔵館がきょう、いよいよグランドオープンしたっていう話ね」

サキ:「文化の日にオープンって、なんだか縁起がいいね」

エミ:「前身の三の丸尚蔵館がオープンしたときも、皇居三の丸尚蔵館が一部の展示室でプレオープンしたときも、11月3日開館だったんですって」

1 東京・皇居三の丸尚蔵館がグランドオープン 記念の特別展「皇室の至宝」で正倉院宝物が皇居で初公開

サキ:「そもそも、三の丸尚蔵館ってどういうところなの?」

エミ:「皇室ゆかりの美術工芸品を収めている館よ。皇居東御苑の中にあって、1993年に宮内庁『三の丸尚蔵館』として開館したの。2023年に東京国立博物館などを管轄する国立文化財機構に移って、新しい施設の一部だけ開いていたんだけど、今回すべてが完成して、きょう全面開館したんですって」

サキ:「で、記念の展覧会がすごいんだよね」

エミ:「そう、特別展『皇室の至宝―美いづるところ』。収蔵庫や展示室を広げた新しい施設の完成を記念する展覧会の第1弾で、きのうは報道向けの内覧会もあったみたい。約190件を、前期・中期・後期で全部入れ替えるそうよ」

サキ:「全部入れ替え! じゃあ3回行かないといけないじゃん」

エミ:「そうなの、3回行く価値はあるわ。前期は11月23日までで、『螺鈿紫檀琵琶らでんしたんのびわ』など、皇居で初めて一般公開される正倉院宝物が並ぶの。伊藤若冲の代表作である『旭日鳳凰図』や葛飾北斎の『西瓜図』といった江戸絵画や、帝室技芸員による明治の工芸などの逸品もあるんですって。中期は11月26日から12月20日までで、狩野永徳の国宝『唐獅子図屏風』や東京国立博物館の法隆寺献納宝物の国宝が並び、後期は12月23日から来年1月24日までで、ボンボニエールが並ぶのよ」

サキ:「正倉院宝物が見たい人は前期、法隆寺が好きな人は中期ってことか。エミちゃんは全部でしょ」

エミ:「もちろんよ。日時指定制で当日券はないから、行く人は予約を忘れずにね。大学生以下と23歳未満は無料だけど、予約は必要なんですって」

サキ:「残念、全然対象外年齢だ(笑)。金曜と土曜は夜まで開いてるんだっけ?」

エミ:「そう、夜8時まで。隣には、猿田彦コーヒーのカフェのある木造平屋の『大手休憩所』も同じ日に開業したの。こちらは無料よ」

サキ:「仕事帰りに宝物を見て、一息つけるのはうれしいね。正倉院が奈良から来てくれるなんて、東京の人にはありがたい話だね。丸の内の私たちにとっては毎日通いたくなるスポットかも」

エミ:「うん。ちゃんと前期のチケットは二人分予約すみだから、一緒に行こうね」

出典:読売新聞/NHK/読売新聞/日本経済新聞/公式:皇居三の丸尚蔵館 特別展「皇室の至宝—美いづるところ」/公式:特設サイト みどころ


2 富山・高岡市立博物館に千利休の直筆とみられる書状 徳川家康の重臣・榊原康政宛ての新史料か

エミ:「次は大河ドラマ『豊臣兄弟!』いよいよ佳境ね。ということで、千利休の手紙よ」

サキ:「利休の手紙が富山に? どうして高岡なの?」

エミ:「利休は、加賀藩主の前田利長(利家の息子)と高山右近(フィリピンに国外追放されるまで加賀藩で匿われていた)の茶の師だったの。高岡城は利長の隠居の城として作られたのだけど、その縄張り設計したのが高山右近だったとされているの。その高岡ゆかりのつながりで、高岡市立博物館の常設展の中で公開されているわけね。今年9月に高岡の市民の方が寄贈したんですって」

サキ:「家にあった利休の手紙を寄贈したってこと? すごいね」

エミ:「書状には、利休が名乗っていた『宗易そうえき』の署名と花押があるの。宛先は徳川家康の重臣の榊原康政さかきばらやすまさ。博物館は、1587年から利休が亡くなる1591年までの間に書かれたものとみているみたいね」

サキ:「徳川四天王のひとり!なにが書いてあるの?」

エミ:「京都にいた康政に、『不慮の出来事でお目にかかれず面目ございません。直接会ってお話ししましょう』っておわびしている内容なんですって」

サキ:「ドタキャンのおわびだ(笑)。そういう手紙って人柄が出て面白いね」

エミ:「主な文献に載っていない手紙だから、新しく見つかった史料の可能性があるそうよ。展示は12月20日まで」

サキ:「利休の『ごめんね』の手紙、いつかは実物を見てみたいな」

出典:KNB/北日本新聞/文化遺産オンライン


3 京都・銀閣寺で国宝「東求堂」の秋の特別拝観 12月5日まで

サキ:「利休の次だから、お茶つながりかな?」

エミ:「鋭いわね。銀閣寺で、ふだんは入れない本堂と、国宝の東求堂とうぐどう、弄清亭ろうせいていを、ガイドさんの案内で約30分かけて回る特別拝観が11月1日から始まっているの」

サキ:「銀閣寺は子供のころ行ったときは銀色じゃなかったのを覚えてる(笑)」

エミ:「みんなそう言うわね(笑)。東求堂には足利義政の法体ほったいの像が安置されていて、四畳半の書院『同仁斎どうじんさい』では書院飾りが再現されているそうよ。茶・花・香の原点とされる空間なんですって」

サキ:「四畳半が原点なんだ。今のワンルームの和室の大先輩だね」

エミ:「弄清亭は香座敷の本歌とされていて、奥田元宋の襖絵があるの。1回20人くらいで、当日に申し込んだ順番なんですって。撮影はできないわ」

サキ:「人数が少ないなら、朝早めに行ったほうがよさそうだね」

エミ:「特別拝観は12月5日まで。紅葉の季節の京都に行く人は、ぜひ寄ってほしいわね」

出典:公式:京都観光Navi 銀閣寺 秋の特別公開「東山文化の原点 国宝 東求堂」


4 奈良・興福寺の国宝「東金堂」が創建1300年 非公開の「後堂」を12年ぶりに公開、“踊り大将”も 11月30日まで

サキ:「京都の次は奈良だね。1300年ってすごい」

エミ:「興福寺の東金堂は726年に聖武天皇が建てたお堂なの。5回も焼けて、そのたびに建て直されて、いまの建物は1415年の6代目なんですって」

サキ:「5回も焼けたの!? それでも建て直してきたんだ」

エミ:「創建1300年を記念して、11月1日から、本尊の薬師如来坐像の真後ろにある『後堂』っていうふだんは入れない場所を、12年ぶりに公開しているのよ」

サキ:「仏像の裏側の部屋ってこと? そこに何があるの?」

エミ:「『正了知しょうりょうち大将立像』っていう、高さ約1.7メートルの寄せ木造りの像よ。1017年の火事のとき、自分で躍り出て逃げたって伝わっていて、『踊り大将』って呼ばれているの。ただ、いまの像は室町時代の作なんですって」

サキ:「仏像が自分で逃げた(笑)。じゃあ今いるのは、逃げた本人じゃなくて二代目なんだ」

エミ:「そういうことになるわね。もしかしたら三代目、四代目かもしれない。苦難を除いて福を授ける、仏法の守護神とされているそうよ。12年ぶりに会えるなんて、私も踊りだしたい気分よ」

サキ:「エミちゃんが急に踊りだしたら、鹿たちがびっくりして避難するよ」

エミ:「……こほん。これは冗談だから突っ込んでほしかったわ。それはともかく、ふだんは正面からしか見られない国宝の四天王立像や十二神将立像を、横や後ろから見られるんですって。みうらじゅんさんが文殊菩薩を描いた限定の絵馬もあるみたい」

サキ:「仏像の後ろ姿って、美術館では見たことあるけど、けっこうおもしろいよね。仏像視点になれたりして。北円堂の運慶の仏像は東博の特別展で後ろから見たから、こっちもいつか後ろからも見たいな」

出典:奈良新聞/読売テレビ/美術展ナビ


5 大阪・茨木の大門寺で、東博「空海と真言の名宝」展に出た秘仏・如意輪観音(重文)を御開帳 11月19日まで

サキ:「仏像の話が続くね。大門寺?なんか最近耳にしたような」

エミ:「大阪府茨木市の神峯山かぶさん大門寺よ。ふだんは非公開の秘仏本尊、如意輪観音菩薩坐像を、11月2日から本堂で公開しているの。国の重要文化財よ」

サキ:「うーん、秘仏なのに、見たことがあるような」

エミ:「そう。一緒に行った今年の夏の東京国立博物館の『空海と真言の名宝』展で見ているわ」

サキ:「あぁ、あの暗い最後のほうの『秘仏コーナー』を思い出した。グッズにもなっていたよね」

エミ:「同じく重要文化財の、平安時代の四天王像もあわせて拝観できるの。数量限定で、切り絵の特別御朱印もあるみたい」

サキ:「切り絵の御朱印は、集めてる人なら絶対ほしいやつだ」

エミ:「なかなか見られないレアもの秘仏が今年は東京と大阪で二回も見られるチャンスなのよ。御開帳は11月19日まで」

出典:美術展ナビ/公式:神峯山 大門寺 令和8年秋 秘仏本尊特別御開帳


6 福岡・九州国立博物館で特別展「卑弥呼の鏡」開幕 鏡103面、富雄丸山古墳の鏡が奈良県外で初公開

サキ:「卑弥呼の鏡って、前に琉球コレクションの話のときに、エミちゃんが止まらなくなったやつ?」(10月28日のニュース)

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エミ:「そう、それよ! 10月31日から、福岡県太宰府市の九州国立博物館で始まったの。サキちゃんに『始まってからにしよ』って言われたから、ちゃんと待ってたのよ」

サキ:「えらいえらい(笑)。で、どんな展覧会なの?」

エミ:「西暦239年に、卑弥呼が魏の皇帝から銅鏡を百枚もらったって話があるでしょ。その中に三角縁神獣鏡さんかくぶちしんじゅうきょうが含まれていたとみて、ヤマト王権がどうやって生まれたのかを鏡から探る特別展なんですって」

サキ:「鏡で王権の誕生を探るって、なんだか推理小説みたい」

エミ:「並ぶ鏡は全部で103面。これだけたくさんの鏡を集めた展覧会は前例がないそうよ。出品は全部で230件で、そのうち国宝が8件、重要文化財が108件もあるの」

サキ:「103面! 重文が108件って、ほとんど半分じゃん」

エミ:「しかもね、2025年に奈良の富雄丸山とみおまるやま古墳から出た三角縁神獣鏡が、奈良県の外で初めて公開されるのよ。……ああっ、富雄丸山!」

サキ:「富雄丸山って、あのすごく長くてくねくねした剣と鏡になっている盾が出た古墳?」

エミ:「そうなの! あの国宝指定必至と言われる出土品の数々の中に、実は三角縁神獣鏡もあったのよ」

サキ:「それって不思議なことなの?」

エミ:「三角縁神獣鏡はね、魏およびその後継の西晋から卑弥呼や台与らがもらった鏡だっていう説が有力で、だいたい作られたのは3世紀後半。富雄丸山古墳は4世紀後半で、100年近く差があるの」

サキ:「うんうん、100年持っていたんじゃないの、大切な鏡だから」

エミ:「ところがね……富雄丸山古墳では、三角縁神獣鏡(3世紀)、前漢・新時代の鏡(前1世紀末~後1世紀初頭)、後漢の鏡(2世紀末~3世紀初頭)の3枚の鏡が重ねられて同じ棺に埋納されていたの」

サキ:「えーっと、だいたい400年分の鏡をまとめてってこと」

エミ:「そうなの。これはマニアックだけど、結構、ヤマト王権の成立のカギを握る話なの。今度、この展覧会とあわせて、詳しく語らせて」

サキ:「う、うん。時間があるときに。てか、九州国立博物館なのに、なんで知っているの?いつのまにか行ったの?」

エミ:「さすがに太宰府には行ってないわ。でも、この展覧会の公式図録が書籍『卑弥呼の鏡』(新泉社)から出版されたから、さっそく買って読んでいるところ」

サキ:「ちなみにおいくら?」

エミ:「3300円よ。福岡まで飛行機代を考えたらただみたいなものよ」

・『卑弥呼の鏡』(新泉社)アマゾン
出典:NHK/共同通信/公式:九州国立博物館 特別展「卑弥呼の鏡」


7 福岡・太宰府天満宮の重要文化財「御本殿」、約124年ぶりの大改修が完了

サキ:「九州国立博物館といえば、太宰府天満宮だよね。九博のすぐ近くの」

エミ:「そう。太宰府天満宮の御本殿の大改修が、約124年ぶりに終わったの。いまの御本殿は、小早川隆景が桃山時代に建て直したもので、国の重要文化財なのよ」

サキ:「124年ぶりって、前は明治のころ?」

エミ:「そうなるわね。来年の『菅原道真公1125年太宰府天満宮式年大祭』に向けて、2023年5月から今年の4月まで、約3年かけて修理したんですって。屋根の檜皮ひわだを全部葺き替えて、岡山県産の檜皮を約30万枚、3,800本分も使ったそうよ」

サキ:「30万枚! 木の皮を一枚ずつ重ねていくんでしょ。気が遠くなる」

エミ:「漆はすべて国産で、金具も約800点直したんですって。これからは楼門と廻廊の檜皮葺の工事も予定しているみたいね」

サキ:「檜皮って木を切らずに皮だけはぐから、また育つまで待つ素材なんだよね。30万枚集めるのは、材料の確保だけでもかなり大変だと思うよ」

エミ:「天満宮は九博の『卑弥呼の鏡』展にも特別協力しているの。鏡を見たあとにお参りできるわね」

サキ:「ぴかぴかの屋根と鏡103面。太宰府、一日じゃ足りなそう」

エミ:「来年は、夏に東博で、秋に九博で、菅原道真展が開催されるのも注目ね」

出典:PR TIMES(太宰府天満宮) 美術展ナビ


8 沖縄・首里城正殿、焼失から7年 11月22日に復元完成式、23日正午から一般公開

サキ:「首里城って、前に九博の琉球コレクションの話のときに出てきたよね」(10月28日のニュース)

【文化財ニュース10月28日】鹿児島の絶海の孤島で寧波瓦のなぞの八角形基壇発見!など5本の話題

エミ:「そう。2019年10月31日の火事から7年になって、正殿の建築工事は終わったそうよ。いまは配管や沿道など、まわりの最後の整備をしているところなんですって」

サキ:「もう7年かぁ。燃えているニュース映像、覚えてるよ」

エミ:「その教訓から、防災体制を見直したの。正殿の中にスプリンクラーを新しく付けて、燃え広がるのを防ぐ水の幕を張る設備や、外から水をかける放水銃も備えたそうよ。高感度のセンサーで早く火に気づいて、消防に自動で知らせる仕組みもあるんですって」

サキ:「木造の建物の中にスプリンクラーかぁ。見た目を守りながら水を通すのは、設計としてかなり工夫がいると思うよ」

エミ:「11月22日の午後に招待者だけの復元完成式があって、その日は公園が一日お休みになるの。23日は朝に県のオープニングセレモニーがあって、正午から一般公開が始まるのよ」

サキ:「正殿の中を見るのは、日時指定の事前予約制なんだね」

エミ:「沖縄シンボルのあの赤い正殿がまた見られるのはうれしいことよね。沖縄に行く人には、いつかは必ず寄ってほしい場所ね」

出典:朝日新聞/公式:沖縄総合事務局 首里城正殿の復元完成式開催について(PDF)/公式:首里城公園 首里城正殿供用開始(一般公開)決定のお知らせ


9 千葉の特別史跡・加曽利貝塚で初めての一般参加の発掘 縄文土器の破片や人骨

サキ:「最後は発掘のニュースだね。加曽利(かそり)貝塚って、千葉のどこ?」

エミ:「千葉市若葉区よ。約15ヘクタールで日本最大級の貝塚で、北貝塚と南貝塚が8の字の形につながっているの。特別史跡なのよ」

サキ:「特別がつくのって、遺跡の国宝で、レアなんだよね。そこを一般の人が掘れたの?」

エミ:「そうなの。本格的な調査に一般の人が加わる特別イベントが初めて開かれて、10月31日の回には、抽選で選ばれた約10人が北貝塚に入ったんですって。縄文土器の破片を掘り当てて、埋葬された人骨も見つかったそうよ」

サキ:「自分で縄文土器を掘り当てるなんて、一生の自慢になるね。抽選に当たった人がうらやましい」

エミ:「北貝塚の本格調査は57年ぶりで、これまで調べたのは全体の8%くらいなんですって。市は調査の期間を令和10年度まで延ばしているの」

サキ:「8%しか掘ってないの!? 残りの92%に何が眠ってるんだろう」

エミ:「今年度の調査は12月5日まで。毎日14時から現地ガイドがあって、12月5日には現地説明会もあるそうよ」

サキ:「掘れなくても見に行けるんだね。8の字の貝塚、いつかは歩いて回ってみたいな」

出典:産経新聞(Infoseekニュース)/公式:千葉市 令和8年度 加曽利貝塚発掘調査について


エミ:「というわけで、3日分で9本。皇居での初の正倉院宝物展示から、三角縁神獣鏡、千葉の貝塚まで、いろいろあったわね」

サキ:「エミちゃん、鏡のところだけ声が裏返ってたよ」

エミ:「だって鏡103面よ。しかも、太宰府天満宮のニュースや、大宰府政庁では発掘成果のニュースもあったし、福岡行きの飛行機に飛び乗っちゃおうかしら」

サキ:「その時はちゃんと私も誘ってね」

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