京都・清水寺本堂の禁断の内陣にカメラが入った!両手をかかげる千手観音像

BS朝日で4月27日に放送された「京都ぶらり歴史探訪」で、僧侶ですらなかなか入れない清水寺の聖域、本堂(国宝)の内陣にカメラが初めて入りました。番組を見た感想です。

『清水寺のみほとけ』の著者で仏像研究者、京都大学名誉教授の根立研介さんの同行で、カメラ撮影が実現したとのこと。

(なお、清水寺には学芸員坂井輝久さんがいて、2人の共著)

清水寺では平成の大修理が行われ、その修理の過程でわかったことなどがこの本でまとめられているそうです。

大修理で新たに解明されたこととは?

そもそも平安時代には、清水寺は紫式部や清少納言も訪れる人気スポットでしたが、今のように清水の舞台の観光を目的にしたのではありませんでした。

その目的は、ちょっと変わった姿をした本尊の千手観音像をお参りするためだったそうです。

舞台のある国宝の本堂は、外側から舞台、外陣、内陣、内々陣の4段構造になっています。観光客が入れるのは舞台と外陣まで。

内陣への「禁断の扉」はすごいシンプル(笑) 内々陣への禁断の扉はちょっと重厚でした。

両手で持ち上げるカワイイ化仏

内々陣には、本尊を模した御前立の千手観音像があります。本尊は秘仏の十一面千手観音立像で平安時代の作と言われているそうですが、厨子の中。33年に一度の開帳で次は2033年だとか。さすがに撮影とは行きませんでしたね。

前立の千手観音像での解説が続きます。

通常の千手観音像と違う特殊なところは、肩から上に向かって一対の腕があるところ。

頭の上に小さな顔(化仏)、さらに小さい顔が!かわいい!

この両手をあげて小さな化仏をかかげるスタイルのルーツが、東洋文庫所蔵のモノクロ写真に映る中国で8世紀頃に描かれた「千手観音図」だとか。

三十三間堂との類似 むしろ原点?

三十三間堂の本尊も千手観音ですが、平安時代のものでなく、これは鎌倉時代に焼けたあとの再建。

千手観音像のなかに、千手観音が描かれた版画があり、そこには手を上げた清水寺式の千手観音が描かれていました。

元は清水寺で、三十三間堂は写しの可能性があり、千手観音と三十六部衆のセットの最古の例の可能性もあると根立名誉教授。

これだけたくさんの仏像を集められた背景には、平安時代後期に日本人好みの和様彫刻を生んだ仏師の定朝がいました。平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像(国宝)や六波羅蜜寺の地蔵菩薩立像(重文)など、「定朝式」で知られています。

この定朝は、清水寺の別当(トップ)を務めていました。そのパワーもあったのではとのこと。

舞台で京都の街を眺めるだけでなく、今度は舞台側から内々陣の仏像をしっかり拝もうと思いました。

また京都の眺める絶好のスポットとして、舞台ではなく、三重塔の手前の西門(重文)からの眺めがオススメされていました。が、ここは一般人は入れないので、特別にカメラが入り、絶景を紹介していました。視線の西のはるか先には極楽浄土があるわけです。

新発見の豊臣秀吉の書状

2021年7月に清水寺から13通の豊臣秀吉の書状が発見されました。番組後半ではそれを詳しく紹介していました。

まずは、大政所(秀吉の母)の病気について2通。病気の回復を願って清水寺に出されたもの。

内容が面白い。「なんとか3年は持たせてほしい。それが無理なら2年でも」と。「それでも無理ならどうか30日でもいいから」と秀吉への母への愛がにじみでいます。実際、母は4年生きたそうです。

その感謝状、一万石を清水寺に与えるものも。

ほかに、清水寺からもらったものへの礼状も複数。小田原攻めに、3着の着物を贈ってもらったこと、有馬温泉で湯治中に浴衣を贈ってもらったお礼など。天下人はさすがマメです。

阿弥陀如来坐像からも新発見

また、重文の阿弥陀堂に安置の阿弥陀如来坐像からは、平成の大修理で、胎内から文書が発見されました。

清水寺は1629年に大火災でほぼ焼失。しかし阿弥陀堂と仏像はすぐに再興されました。

復興の担い手は、徳川幕府の御用仏師でなく、庶民がお金を集めて無名の仏師に依頼したものだそうです。

最後にカメラは夜まで待って、春の夜間特別拝観でのライトアップで〆ました。とても充実の番組でした。5月4日までTVerで見逃し配信しているので、見てない方はぜひゴールデンウィークにでもご視聴を。

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