【書評】『テンセントが起こすインターネット+世界革命』(アルファベータブックス)

日本ではあまり知られていないが、「ウィーチャット」や、スマホゲームの多くを開発するEPICゲームなどの事実上の支配者である中国の超巨大IT企業「テンセント」。その創業者でCEOの馬化騰らが書いた、いわば公式本だ。

読むと、空恐ろしくなる。中国の実力に。共産党が伸びる企業にガッチリ組み込まれているという怖さだけでなく、テクノロジーファーストとプロトタイプ経営の進化の速さのすさまじさ。

ハンコの廃止で騒いでいる日本と比べると、どれだけ中国最先端の企業が、前例をあっさり打破し、「インターネット+」という大目標以外に、レギュレーションが少ないことか。

言うまでもないが、テンセントは、アメリカのGAFAに対比される中国の超巨大企業BATHの一角。日本では、「ウィーチャット」で知られる程度だが、世界では、ゲーム制作の一大スポンサーとして名高い。

バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーエイの4社。ファーエイは、ものを売るだけに、ものの販売をアメリカに封じられて青色吐息となっているが、他の三社はインターネットサービスなので、兵糧攻めにも耐えうるだろう。

テンセントの創業者の馬化騰らが書いている公式本なので、共産党への忠誠がたびたび出てくるのも、ある意味で貴重な本(資料)といえる。香港を上回る都市となった深センのルポ『プロトタイプシティ』(角川書店)と合わせて、実際の中国経済を把握するためには、必読書だ。

関連記事

  1. ブラタモリ京都東山編で比叡山と大文字山の2つの山稜が白砂の日本庭園を作ったという話

  2. 【書評】残酷で切ない「お姉ちゃん」の真実 『姉というハビトゥス:女児死亡の人口人類学的民族誌』パプアニューギニアの少女はなぜ死んだのか?

  3. 【歴史辞典の”闇”】『国史大辞典』に隠された時代遅れの20世紀的な「序列」とは

  4. 江戸時代を通じてあった「何年たっても農地は原価で買い戻し特約」は実は江戸後期オンリーの特例だったようだ。

  5. 直感ですが…前方後円墳と水田の関係は時期がずれてるだけ

  6. Kindle半額中!『三体』のループ世界は『進撃の巨人』に共通する?

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。