正倉院最大の銀器「銀壺」第74回正倉院展

2022年秋(10/29-11/14)の第74回正倉院展で出陳された正倉院宝物のひとつ「銀壺(ぎんこ)」。実際に見るとその巨大さに驚きました。また、パルティアン・ショットが描かれているのも面白かったです。画像はポストカード10点セットから。

銀壺
銀製 鋳造
口径42.9㌢
胴径61.3㌢、総高46.6㌢
奈良時代 (8世紀) 正倉院宝物 (南倉)

以下は奈良国立博物館だより123号(令和4年10、11、12月)の吉澤悟学芸部長の解説文から引用。

正倉院最大の銀器。一抱えもある大ぶりの壺(形は托鉢用の『鉄鉢』に似る)で、総重量は約四十ニキログラム。大仏に捧げるための特別仕様である。表面には雄大な狩猟絵巻がタガネで刻まれてい
る。馬に乗った人物が計十ニ人。弓矢を持ち、鹿や猪を追って山野を駆けめぐっている。よく見ると 馬上から後る向きに弓を射るいわゆるいわめるパルティアン・ショットの名人がいたり、落馬しそうなロデオの達人(?)もいたりして、ついのめり込んでしまう。狩猟図は中国・唐時代の人士に好まれ、手のひらに収まるくらい小さな銀のゴブレットに、馬上のハンターや獲物を神業の網か細かさで線刻したものがある。本品はそうした唐の文物にならいつつ、思い切りよく巨大化させた逸品である。底裏には「天平神護三年二月四日(七六七年)の刻銘があり、この日に東大寺に行幸した称徳天皇の奉納品と考えられている。

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