東博の常設で展示されている雪舟「四季山水図」4幅(重要文化財)が想像以上に素晴らしかった

東京国立博物館が今年で創立150年を迎え、10月18日から、東博の国宝89件すべてを展示する特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が開催される。とても楽しみだ。
展示替えがあるため、89件すべてを見るには前期に2回、後期に1回の最低3回が必要だそうだ。これのために、特別展チケット3枚がもらえる賛助会員(年間パスポート)に入ったので、3回行こうと思う。

スクリーンの中の空気が動く!まるでVR体験

年パスでは、常設(総合文化展)は入り放題なので、10月12日から11月20日まで、常設の本館2階で展示されている雪舟等楊筆の「四季山水図」4幅、室町時代・15世紀を国宝展の予習のつもりで見に行った。こちらは重要文化財だが、想像以上にすばらしかった。4幅あることでまるで大型スクリーンが目の前にあるようで、さらに少し離れ気味に見ていると、絵の中の霧といった空気が流れるのを感じるほどだった。

目の前の長いすに座ると、見ず知らずの女性が少し間を置いて、同じように呆然と眺めていた、見知らぬもの同士が言葉も発さずに、しかし、明らかにこの美術のパワーに圧倒されている。
以下のe国宝の解説によると、この絵は雪舟が中国(宋)に滞在中に書いたもので、雪舟らしくない=日本の水墨画っぽくないとらしい。

 雪舟が中国滞在中に描いた作品である。絹に描かれた非常に大きい四季山水で、構図はダイナミックでありながらも骨組みがしっかりしていて安定感がある。大きさ、材質、題材、画風がいずれもきわめて中国的であり、以上に加えて、各幅に「日本禅人等楊」の款と「等楊」の白文方印、「光沢王府珍玩之章」という鑑蔵印があり、款記にわざわざ「日本」と書いていることと、「光沢王」が明の王族に与えられる称号の一つであることから、雪舟が入明中に明の画風に倣って描いたとものと考えられる。岩の描き方は浙派風であり、雪舟は中国で流行していた浙派風の馬遠・夏珪スタイルに近づこうとしたのであろう。
雪舟が四季山水を重要なレパートリーとしていたことは、本図のほかにも倣夏珪の四季山水図(団扇形)があったことや、現存する黒田家旧蔵本(石橋財団石橋美術館別館)、彦龍周興が延徳元年(一四八九)に雪舟の四季山水図四幅対に題した「四景図 一景一幅 楊知客筆」(『半陶文集』)にうかがえる。ただ室町時代の絵画史において、そして雪舟自身の帰国後の画業においても、本図が画風的に孤立した作品であることは否めない。いいかえれば、それほど中国的傾向が強いといえるのである。
春景の左下隅の驢馬(ろば)に乗る人物と従者は、雪舟の前身とされる画家、拙宗等揚の山水図(京都国立博物館)のそれによく似ており、本図には拙宗と雪舟をつなぐ要素も認められる。

なお、東博所蔵の雪舟の国宝は2件。
国宝「秋冬山水図」は秋景と冬景の2幅で、前期(10月18日~11月13日)の展示。特に「冬景」は教科書などにも載る最も有名な雪舟の絵で、画面の真ん中を縦にぶったぎる大胆な縦線が特徴。
国宝「破墨山水図」は後期(11月15日~12月21日)の展示。1幅で、絵の上に雪舟が書いた文章(讃)がある。讃は、雪舟が中国(宋)に渡った興奮を記したもの。雪舟の讃の上には2段に6人の禅僧が讃を書いている。室町時代の禅画としては、定番のスタイルではあるが、特別展の短時間(90分で鑑賞を終えろとの注意書きがある)では、読み込むことができるか、あらかじめ内容を予習しておこうと思う。

また、特別展で国宝の雪舟を見たあとにはその足で、この重文の「四季山水図」を見ようと思う。もしかしたら、重文のほうが良いと感じるかもしれない。もちろん、そういう意外な体験こそ、美術鑑賞の楽しみなのだが。

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