読み直すマスターキートン 第1話迷宮の男

浦沢直樹の数あるマンガの中で、歴史ファンでは、第一に挙げる人も多いのではないか。

マスターキートンである。

しかし、作者は浦沢直樹氏だが、原作者を巡って、争いがあり、名作にも関わらず、長く電子版が出ていなかった。

そして、この原作者問題に、権利的に決着がついたようで、2022年5月30日に、電子版が発売された。

昔味わった、あの興奮を思い出したいと、全巻hontoで購入した。

1988年からの連載から三十年以上。その間にあった、大きなことはウィキペディアの誕生だ。

遠い異国、まるで全くの異世界の話のようだったのが、ウィキペディアで参照できるようになったのだ。

もちろんマスターキートンはノンフィクションでもなんでもない、完全なエンタメフィクションではある、それを、分かった上で、1話1話を噛み締めて、読み直す。

それは、歴史好きな子供だった自分が、いくばくかでも、大人になったことを示すかもしれない。

ネタバレも気にせずに書いていく。

まず1話「迷宮の男」。舞台はギリシャ。

イキタ島の海中で見つかった、オデュッセウスの金貨。イキタ島はオデュッセウスの故郷。作中、一枚も見つかってない金貨と説明されている。

ウィキペディアのイキータ島を見る。

ヘレニズム時代の硬貨が発見されているとあった。これが金貨かどうかはわからない。

漫画ではあるが、インディージョーンズとともに、子供のころは、考古学は宝探しと思っていた。

キートンも、ものをすくねる。このキャラクター性の大きな要素を占める、なんでもポケットに入れてしまうことは、物語においては重要であるが、考古学者としてはダメだろう。

まして、1話で非常勤講師先の日本の大学の事務局で、ものをくすねて、事務局員に「またキートン先生は!」と盗みグセを把握されている。あとのほうの回で、キートンが大学の常勤になれるように教授とカラオケに行ったりとする回があるが、キートンの研究を教授のものにさせてくれ、と言われて、ポストを蹴るのたが、うがったみかたをすれば盗みグセがあるキートンだから、こういう研究の盗用を勧めてきた可能性もあるだろうと思った。つくづく、三十年という月日は、人にうがった見方を身に着けさせるに充分なのだ。

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