脱ダム、脱ファーウェイのサンクコストと、米中戦争の軍靴の足音

サンクコストとは、埋没費用のことで、要は、自分がそれまで費やしてきた努力、時間、費用を、「無駄だった」と認めることは難しいということ。

Wikipediaの項目では以下の通り

埋没費用の誤謬

埋没費用は、事業や行為を中止しても戻ってくるものではない。しかし、埋没費用を考慮した結果として、合理的でない誤った判断を下す場合がしばしばある。二つの例を挙げる。

例1:つまらない映画を観賞し続けるべきか
2時間の映画のチケットを1800円で購入したとする。映画館に入場し映画を観始めた。10分後に映画がつまらないと感じられた場合にその映画を観続けるべきか、それとも途中で映画館を退出して残りの時間を有効に使うべきかが問題となる。

映画を観続けた場合: チケット代1800円と上映時間の2時間の両方を失う。
映画を観るのを途中でやめた場合: チケット代1800円と退出までの上映時間の10分間は失うが、残った時間の1時間50分をより有効に使うことができる。
この場合、チケット代1800円とつまらないと感じるまでの10分が埋没費用である。この埋没費用は、この段階において上記のどちらの選択肢を選んだとしても回収できない費用である。したがって、この場合は既に回収不能な1800円は判断基準から除外し、「今後この映画が面白くなる可能性」と「鑑賞を中断した場合に得られる1時間50分」とを比較するのが経済的に合理的である。

しかし、多くの人は1800円を判断基準に含めてしまいがちである。

7月の熊本豪雨では、民主党政権の「脱ダム」によって、途中で事業が中止された川辺川ダムが、もしも造られていたら、豪雨被害を減らせたかもしれないと、サンクコストの点から解説している高橋洋一氏の論点が興味深かった。

そして、日本が直面するサンクコスト問題は、ファーウェイ問題だ。

指摘する門田隆将氏が反中国(反共産)であることを差し置いても、現実に日本企業は、
(1)これまでのファーウェイなど5社の中国企業製品を使ったIT系の投資を無価値(0円)に減損して、新たに莫大な金額をかけて再投資する

(2)これまでの中国投資をなかったことにはできないので、将来のアメリカとの商売をあきらめる

という、とんでもない2択を8月から迫られているのだ。

どちらも地獄の道だが、中期的な視野で考えたら、これまでの投資を無駄(脱ダム)にしても、中国依存を減らすほうがまだましであろう。とりあえずアメリカは領土的な拡張思考はないが、中国は露骨に領土を奪いに来ているので、合理的に考えるとアメリカにベット(BET)するしかない。

しかし、サンクコストを考えたときに、中国投資を行ったことで実績をあげて現在経営者となっている企業人からしたら、自身の功績が一転して大チョンボになるので、なかなか難しい企業も多いだろう。

結局、地動説が天動説にとってかわったのは、合理的な科学論争の結果ではなく、たんなる世代交代の結果だった(『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 』(星海社新書)より )のように、企業経営陣の世代交代が必要となってくる。

幸か不幸か、中国共産党は、尖閣諸島だけでなく、香港、ウイグル、ベトナム、インド、さらにはブータンにまで、あからさまな領土拡張の姿勢を実力行使でしめしており、世界中(とくに遠くて他人事だったヨーロッパ)が中国の危険性に気づきだした。

とりわけ、対インドの戦略であろうブータン東半分の領有を主張は、中国にとっては、戦線を東と西の両方へ広げて、悪手としか思えないが、きっと個別の方面軍的な勢力による競争などもあるのだろう。

中国の内部事情はよくわからないが、独裁政権では、派閥争いが激しくなるのが歴史の常。
戦前日本の関東軍のように、中央政府がコントロールできなくなっていくと、どんどん戦線が広がっていく。中長期的には、共産党中国は、戦前日本のように自滅に陥るが、短期的には、規模の大小不明ながら「戦争」の危険性も高まっていくだろう。

個人的に、危ないのは、朝鮮方面だと思う。
北朝鮮がコロナによって壊滅的な経済状態になっているのは明らかである。

5月の上の記事で、ジャーナリストの時任兼作氏が、「中国軍も中朝国境に向けて移動を開始した、との情報まで流れた。」と書いているように、実際、微博(中国版ツイッター)で、戦車(装甲車かもしれない)などを含む中国軍の軍用車両が朝鮮国境へ向けて移動する動画が複数流れた。

当然ながら、北朝鮮に出兵すれば、韓国、日本、アメリカはもちろん、あらたにロシアとの「国境紛争」も持ち上がるだろう。

アメリカが中国のヒューストン総領事館の閉鎖を求めるなど、本格的な「戦争前夜」の様相を呈している。

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